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「五輪、改修国立競技場で」 伊東豊雄氏ら代替案公表へ

伊東豊雄氏

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 二〇二〇年の東京五輪に向けた国立競技場の建て替え問題で、建築家の伊東豊雄さん(72)が、新競技場を造らず現競技場の維持改修で済ませる代替案をまとめた。十二日に公表する。伊東さんは建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を昨年受賞した日本を代表する建築家の一人。仮設の観客席などを活用した改修案で、大幅な規模の縮小やコストの削減が見込めるという。 (森本智之)

 作成を提案した人類学者の中沢新一さんが九日、取材に応じた。五輪史上最大規模となる新競技場は立地する明治神宮外苑の歴史的景観を壊し、建設費を肥大化させるとの批判を招いている。改修案は、観客席の約四分の一に当たる二万席余を仮設にするなど現競技場の構造を生かした内容で、中沢さんは「七月には競技場の解体が始まり今がぎりぎりの段階。この改修案で計画の方向転換を社会に訴えたい」と話している。

 改修を支持する作家の森まゆみさんらのグループが入手した資料によると、新競技場建設の事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)も一一年、改修を検討。大手設計会社に委託した結果、現在見込まれている総工費千六百九十二億円の半分以下の七百七十七億円で七万人規模に改修可能とされていた。

中沢新一氏

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 中沢さんによると、伊東さんに改修案の作成を提案したのは今年初め。伊東さんは新競技場のデザインコンペに参加していたが、「批判を受けても改修の可能性を示してみせる必要がある」と受け入れた。

 中沢さんは「今の日本は、国土強靱(きょうじん)化の名の下、大規模な建築物をどんどん造ろうとしている。おかげで人手不足、資材不足が生じ、これを東京に回すことで、東北の復興は決定的に遅れる。安倍晋三首相の言う東京五輪との両立は矛盾している」と指摘。その上で、「われわれは五輪に異を唱えているわけではない。改修して良いものを造ることができるならば、『もったいない』の文化を日本の建築思想として世界に発信できる。将来発生する莫大(ばくだい)な維持費用を考えれば、国民にはそれに反対する権利がある」と話した。

 <いとう・とよお> 1941年ソウル生まれ。東大卒。主な作品にせんだいメディアテーク(仙台市)など。東日本大震災の復興支援に携わり、岩手県陸前高田市で被災者の交流施設「みんなの家」を設計。2012年、ベネチア・ビエンナーレ国際建築展で金獅子賞を受賞した。

 

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