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審査内容の公表 不十分 選考の詳細触れず

 新国立競技場の建て替え問題が昨秋に指摘されて以降、本紙はデザインコンペの経緯について情報開示を求めたが、JSCは「公表すると今後の意思決定の中立性が損なわれる」と応じなかった。計画に反対する多くの建築家や有識者に対しても同様の対応を取り続けた。それが一転、新競技場の基本設計案が固まった直後の今年五月三十日、審査過程の概要をまとめた約百ページの報告書をホームページ(HP)で公表した。

 報告書ではザハ・ハディドさんの作品に懸念が示されていたことや、他の二作品と評価が割れたことは示したが、今回の開示で明らかになった最終決定の経緯などは「再度議論を行い(中略)選出した」とあるだけ。審査委員長の安藤忠雄さんが、最後まで評価が並んでいた三作品のうち一作品を落としたことなどは記されていない。

 JSC側は報告書の公表理由を「基本設計案がまとまり、審査過程を公表しても意思決定の中立性が損なわれない段階に来た」と説明。「審査の流れをまとめたもので、あえて何かを省いたことはない」と述べていた。

 既にコンペから一年半も経過。計画が大詰めを迎えた段階での報告書の公表は遅く、何より内容が不十分だ。情報公開請求で判明した最終決定の経緯は、ハディドさんのデザインや審査のあり方の是非を考える上で基になる資料といえる。新競技場建設に民意を反映させるために、当初から明らかにされるべきだった。

 新競技場建設は「国家プロジェクト」をうたっているが、少なくともJSCがそれに見合う説明責任を果たしているとは言い難い。 (森本智之)

 

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