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「新国立」総工費 さらに900億円増 建築家・槇氏ら試算

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 2020年東京五輪の主会場として建て替えられる新国立競技場の総工費が2500億円に達するとの試算を、現計画に反対する槇文彦さんら建築家グループがまとめた。建て替えを進める日本スポーツ振興センター(JSC)は総工費を1625億円としているが、試算はこれを900億円近く上回る。グループは維持費も見込みより増大すると予測。巨大なスタジアムにかかる費用は将来、1000億円以上ふくらむ可能性がある。 (森本智之)

 JSCの試算は昨夏の単価に基づき、消費税3%増税分も反映されていない。グループは、これに加え震災復興や東京五輪に向けた需要の高まりによる物価上昇などを検討。建築物価は毎月1%上昇し、現時点で15%、一五年の着工時には25%増えるなどし、二千百億円に上ると試算した。

 さらに、全長三百七十メートルに及ぶ長大なアーチや開閉式屋根(遮音装置)など、現計画の持つ大規模で複雑な構造が建設費を押し上げると分析。ゼネコン関係者への聞き取りでも「金と時間をかければできるが、予算内に収めるのはかなり難しい」と回答があった。

 その上で、ゼネコン側の試算も参考にし、総工費は二千百億円をさらに四百億円程度上回る二千五百億円になるとはじいた。

 工事の難しさはJSCも認めており、設計段階でゼネコンに技術提案を求める異例の対応を取っている。難工事は、工期にも影響する可能性が高い。JSCは四十二カ月を見込むが、グループは「より規模の小さな日産スタジアムでもそれぐらいかかっており、少なくとも五十カ月は必要になる」と指摘している。

 JSCは二〇一二年、計画の検討段階で総工費をロンドン五輪メーンスタジアム(当時のレートで約六百三十億円)を上回る一千億円としていたが、同年のデザインコンペの段階では千三百億円と試算。さらに採用されたザハ・ハディドさんのデザインをもとに試算した結果、周辺工事費を含めて三千億円に増大したため、規模を約二割縮小するなどし、総額千六百二十五億円としていた。

 日本建築家協会など建築五団体は七月以降、JSCと非公開で意見交換。グループのメンバーで東京建築士会会長の中村勉さんによると、JSC側も「工費は高騰すると思う」と認め、「しかるべきタイミングで(試算を)公表する」と答えたという。

 中村さんは「調べれば調べるほど甘い予測に基づいている。このままではコストも工期も余分にかかり、二〇一九年のラグビー・ワールドカップにも間に合わない可能性が高い」と話している。

 JSC新国立競技場設置本部の高崎義孝・運営調整課長は、取材に「コメントできない」と述べた。

 

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