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【新国立競技場問題】

「新国立」に緑を 周辺開発見直し 20日提案

周辺に森をつくる日本学術会議分科会の新国立競技場イメージ図=日本スポーツ振興センター公表資料を基に同会議が作成

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 二〇二〇年東京五輪で主会場となる新国立競技場の建て替え問題で、国に政策提言を行う科学者の代表機関・日本学術会議の分科会が、競技場本体周辺の開発計画を見直し、森として整備するよう求める提案をまとめた。将来の東京のシンボルとして新しい緑を創出する狙いがある。見直しにより、懸案の総工費も大幅な削減が見込めるという。

 二十日に開く同会議のシンポジウムで公表する。新競技場をめぐっては建築家や作家らから計画の撤回や大幅な修正を迫る意見が出ている。今回は景観の専門家らによる提案で実現性を高めるため、あえて競技場本体に手を付けず、周辺部のみの方針転換を求めた。

 石川幹子中央大教授(都市環境デザイン)が委員長の「都市と自然と環境分科会」がまとめた。

 現計画では競技場周辺は人工地盤でかさ上げし、地盤の地下にスポーツ博物館や図書館などを整備。地上部分に当たる地盤の上側は緑化して公園や通路にする。これに対し、今回の提案では人工地盤と地下の開発をやめ、地面から直接植樹して森をつくる。

 人工地盤では、樹木が根を張るには地中の深さなどが不十分で、持続的な生育は難しいという。石川教授らの試算では、森をつくることにより、五輪を開催する夏場の体感気温は最大四・六度低くなる。

 新競技場は明治神宮外苑(がいえん)に建設される。提案は、百年を超えて親しまれる内苑(明治神宮)の森のような緑の空間を目指している。

 石川教授は「五輪は台風のようなものですぐに過ぎ去ってしまうのに、その後の東京をどうしたいのかビジョンが何もない。われわれの先人は神宮の森や新宿御苑など多くの緑のインフラを残してくれた。今回、私たちは何を残せるのか。それが問われている」と話している。

 競技場の建て替えを進める日本スポーツ振興センターの担当者は「お話はうかがっており、正式な要望を受けたらまず内容をよく検討したい」とした。 (森本智之)

 

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