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【新国立競技場問題】

新国立の計画白紙 「ファンの期待に応えねば」

 巨額の工費に批判が集中していた新国立競技場の建設計画が白紙に戻された。時間を空費したつけは大きく、スポーツ界は2019年ラグビーワールドカップ(W杯)の会場計画見直しなど、多くの課題に追われることとなった。 (井上仁、森合正範、禰宜田功)

 東京都内で会見したラグビーW杯大会組織委員会の嶋津昭事務総長は「大変残念な事態になった」と無念の表情を浮かべた。W杯の開幕戦と決勝を予定していた新国立競技場は白紙となり、間に合わなくなった。「世界のラグビーファンが新国立競技場での試合に期待していたと思う。その期待に反する大会にしないよう、頑張っていかないといけない」と語った。

 国際統括団体「ワールドラグビー」は開幕戦、決勝などを行う会場の観客収容人数について「6万人以上」が目安としている。現状の12会場のうち、新国立競技場以外で条件を満たすのは横浜市の日産スタジアムだけ。代替会場について、嶋津氏は「個別の競技場のことは申し上げられない」と述べるにとどめた。

 また、日本陸連の尾県貢専務理事は「国立はあくまで選手が競技を行うところ。形ではなく、選手の使い勝手が重要」とアスリートファースト(選手第一)を強調した。続けて「五輪後どうするかをきちんと考えなくてはならない」と話し、「サブトラックがないと陸上の大会を開けない。それでは困る」。これまで仮設の可能性が高かったサブトラックの常設をあらためて希望した。

 サッカー界は旧国立競技場を「聖地」として利用してきた。日本サッカー協会は将来的に2002年の日韓共催に次ぐ男子W杯の単独招致を目指しているが、開幕戦などは常設8万人以上のスタジアムで行うことなどが求められている。日本協会の大仁邦弥会長は「8万人の観客数、可動席、観客席に屋根をかけること。この3つは国際公約でもあり、守っていただきたい。ぜひ良いものにしてほしい」と訴えた。

◆統括団体「失望」

 真新しいスタジアムの集客力に期待していた主催者の国際統括団体ワールドラグビー(WR)は「日本側から大丈夫と説明されてきたにもかかわらず開催できなくなり、とても失望している」との声明を出した。

 会場はこれまでにも変更されたことがあり、2011年ニュージーランド大会では同年2月の地震で被災したクライストチャーチの試合を他の都市に変えた例があるが、ある組織委幹部は「(11年と)同じような不可抗力の理由ではない。承認を得るのは大変」と、作業の難航を指摘した。

◆五輪テスト大会?

 新国立競技場は5年後の東京五輪で開閉会式の舞台となるだけでなく、陸上、サッカーが実施される。政府は新たな建設計画を秋に策定し、2020年春の完成を目指すとしており、大会準備への影響は避けられない。

 東京五輪の開幕は20年7月24日。その本番前には各競技会場でテスト大会が実施される。大会組織委員会が13年に国際オリンピック委員会(IOC)に提出した立候補ファイルによると、新国立競技場では19年11〜12月にサッカー、20年2〜4月に陸上のテスト大会が予定されていたが、見直しが必要となる。

 テスト大会は、ボランティアを動員した競技運営、輸送、セキュリティーなどあらゆる分野をチェックする重要な機会になる。競技場の完成がずれ込むようだと、影響はさらに膨らみかねない。

 

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