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【経済Q&A】

交渉参加 TPP<4> 雇用への影響は

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 環太平洋連携協定(TPP)に参加すると、雇用環境にも影響すると言われる。推進派は雇用増に期待を示し、反対派は労働環境の悪化を懸念する。メリット・デメリットを検証した。 (金杉貴雄)

 Q TPPに参加した場合、雇用面でメリットはあるか。

 A 推進派は、雇用が増えると強調している。TPP参加国の域内では関税が原則撤廃されるから、海外に輸出しやすくなる。このため、特に輸出産業では雇用増が見込まれるという理屈だ。

 また、歴史的な円高や、国際的に高い法人税に悩まされて海外移転を検討していた企業も、少なくとも関税撤廃分は競争力が高まる。海外に生産拠点を移す必要性が薄れ、空洞化に歯止めがかかると主張している。内閣府の試算から計算すると、関税撤廃で三十万人程度の雇用が増える。

 連合などがTPPに賛成しているのも、こうした期待感からだ。

 Q 関税以外にも効果はあるのか。

 A 政府は「投資や在留資格審査の手続きが域内で緩和されることで、海外からの投資や、サービス関連企業の日本進出が増える」と主張している。投資による経済活性化や企業の進出で、新たな国内雇用が生まれるという理屈だ。

 Q 相手国でも規制緩和されるから、逆に日本企業の海外進出も進むのでは。

 A その点は、国内雇用にはマイナスだ。ただ、域内では資金送金の上限規制も緩和される。日本企業が海外で得た利益が日本に還流しやすくなり、国内消費が増えれば雇用増が期待できる。

 Q すべての産業で、雇用増が期待できるのか。

 A 残念ながらそうはいかない。一部製造業など国際競争力の弱い産業や、農業分野では、雇用は減るとみられている。政府には、そうした分野の対策が求められる。

 Q 日本全体として雇用は増えるのか、減るのか。

 A 全体としては増えるという見方が強い。戸堂康之東大教授(国際経済学)は「競争力の低い産業の雇用減を、輸出産業などが吸収し、全体として雇用が増加する」と指摘している。

 Q 懸念はないのか。

 A 鈴木宣弘東大教授(農業経済学)は「極端な関税撤廃や制度撤廃は、多数の敗者と一握りの勝者を生む」と批判している。

 反対派からは「低賃金の単純労働者が、海外から大量に流入し、低賃金化が進む」との懸念も出ている。ただ、現在のTPP交渉では単純労働者の移動は協議されていない。

 

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