東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 経済Q&A > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済Q&A】

東芝、WDと敵対から方針変更 訴訟回避、資金繰り優先

写真

 東芝は半導体子会社「東芝メモリ」売却に関し、米WDや日米の投資ファンドによる「日米連合」と優先的に協議する方針に切り替えました。東芝はなぜ敵対してきたWDに売却することに方針転換したのでしょうか。(妹尾聡太)

 Q 交渉先を変えた背景は。

 A 東芝は六月から産業革新機構や米ファンドがつくる「日米韓連合」に約二兆円で売却しようと、交渉してきました。しかし、三重県四日市市の半導体工場を共同運営している米WD社が「第三者に勝手に半導体事業を売るのは約束違反」と訴えを起こしたため、「日米韓連合」との交渉は暗礁に乗り上げてしまいました。やむなく、東芝は、同連合との交渉をあきらめ、WD側に売ることにしたのです。産業革新機構などもこの枠組みに乗り換えようとしています。

 Q WDとは敵対していたはずなのに。

 A それだけ切羽詰まっているのです。米国の原発事業で失敗した東芝は、資産を上回る借金を抱える債務超過に陥っています。その額は約五千五百億円。これを二〇一八年三月までに解消しない限り、上場廃止になってしまうため、どうしても半導体事業を売却して現金を得る必要がありました。東芝に融資している銀行も、八月末までに売却契約しないと「もう資金繰り支援できない」と圧力を掛け、東芝は「背に腹は代えられない」と方針転換したのです。

 Q WDへの売却交渉はうまくいくのでしょうか。

 A 当初、WD側の提示した金額は低かったが、ここへきて、米ファンドなども合わせ約二兆円を拠出する方向といわれ、うまくいけば東芝は当初見込みに近い現金を得られる可能性があります。ただ、一社のシェアが高まりすぎるのを禁ずる独占禁止法のハードルがあります。WDが東芝の半導体事業を買収すると、世界市場でのシェアは三割を超え、国によっては独禁法違反の疑いが出てきて審査に時間がかかるおそれがあります。このため、WDが半導体事業に直接出資するのではなく、当面は議決権を持たない転換社債の形でお金を出す苦肉の策が模索されているようです。

 仮に売却合意できても、各国の審査を本当にクリアできるかなど綱渡りの状況がまだ続きそうです。

 

この記事を印刷する

PR情報