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【経済Q&A】

メモリ株 WD保有なぜ抑制 東芝、独禁法審査の短縮狙う

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 東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却交渉が大詰めを迎えています。今月末の合意を目指す交渉の焦点は、売却相手の一角をなす半導体会社の米ウエスタン・デジタル(WD)が東芝メモリの株式をどれだけ持つかです。なぜWDの保有比率が焦点になるのでしょうか。 (妹尾聡太)

 Q WDが東芝メモリ株を多く持つのは、いけないことなのですか。

 A 半導体の「NAND型フラッシュメモリー」の市場では韓国サムスン電子が世界一のシェアを占めます。こうした中で三位のWDが二位の東芝メモリを買収し、その多くの株を持てば、サムスンとWD陣営の二社が圧倒的なシェアを握ることになります。

 すると、世界各国で独占禁止法に抵触しないかどうかの審査に時間がかかり、東芝が東芝メモリを売却できなくなる可能性が出てくるのです。

 Q 特定の企業が圧倒的なシェアを握ると何が問題になるのでしょう。

 A 日本の公正取引委員会など各国当局は、一社の力が巨大になることで企業間の公正な競争が難しくなり、他社が新規参入できなくならないかを調べています。国によって基準は違いますが、審査が長期に及ぶこともあります。

 Q どの程度の時間がかかるのですか。

 A 一般的に六カ月以上といわれ、東芝が二〇一六年に医療事業をキヤノンに売却した際は九カ月かかりました。特に巨大市場の中国では、政府が重視する分野で審査が長期化する傾向があるとされ、半導体もその例に漏れません。

 東芝は米原発事業の損失で借金が資産を上回る債務超過に陥っており、東芝メモリの売却益で借金を返済し、約五千五百億円の債務超過を解消したい考えです。しかし独禁法の審査が長引いて売却が遅れ、来年三月末までに債務超過を解消できないと、規定により東芝株は上場廃止となり、さらに東芝は信用を落としかねません。

 Q 結局、WDは東芝メモリの株をどの程度持てるのでしょうか。

 A 一概に言えませんが、仮にWDが三分の一超を持てば、会社の合併や分割など重要な決定事項を株主総会で拒否する権利が得られます。過半数を持てば実質的に会社の経営権を握ります。株を多く保有するほど、もともと別だった会社が一体的に動いて影響力を強めるため、独禁法の審査は厳しくなります。

 東芝とWDの現在の交渉では、WDの関与をできるだけ減らして審査を通過しやすくし、将来もWDの保有比率を三分の一以下にする方向で調整しています。

 

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