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【経済Q&A】

幼児教育無償化、なぜ公約に 家計軽減で消費に期待

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 安倍晋三首相は来月に予定される衆院選の自民党の公約に、財政赤字の削減に使う予定だった消費税の増税分を、幼児教育の無償化などの財源に充てることを掲げる考えです。教育無償化は、民進党の前原誠司代表も必要性を訴えています。選挙戦で両党の看板政策になりそうな政策について、想定される効果と副作用についてまとめました。 (桐山純平)

 Q 無償化の対象は。

 A 小学校に入学する前の子どもが通う幼稚園や保育園の保育料です。内閣府の試算では、現在通っている子ども全員の保育料を無料にすると、一兆二千億円が必要になります。

 Q 無償化の狙いは何ですか。

 A 子育て世帯の負担軽減です。負担が減れば、消費が増えるのではないかという思惑も政府にはあります。SMBC日興証券の試算では、無償化で負担が約一兆円軽くなり、その半分が消費に回ると、実質国内総生産(GDP)を0・1%押し上げます。

 Q 教育そのものへの効果は。

 A 約五十年前の米国の研究では、就学前に幼児教育を受けた子どもは、我慢強さや協調性などIQ(知能指数)で測ることができない能力が高まり、教育を受けていない子どもに比べて将来の所得が高くなるという結果が出ました。文部科学省はこうした研究結果を基に「幼児教育の効果は高い」と説明します。

 一方、幼児教育の無償化は所得が低い層から段階的に進んでおり、五歳児で96%もある日本の就園率をこれ以上高くするのは難しいとの見方もあります。そのため、教育効果は限定的になると反論する専門家もいます。

 Q 教育格差の解消にはつながるの。

 A 段階的な無償化が進んでおり、全面無償化の恩恵はむしろ所得が高い人ほどあります。余裕のある世帯が無償化で浮いたお金を習いごとなどに回せば、格差が広がる可能性も指摘されています。

 Q 無償化の副作用はほかにもありますか。

 A さらなる増税など将来世代の負担が増える可能性があります。安倍首相は二〇一九年十月に予定している消費税率8%から10%への引き上げによる増税分の一部を無償化に充てる考えです。だが、この増税分はもともと、借金漬けになっている国の赤字を減らすために使われる計画でした。赤字削減の予算が減ることで赤字が膨れ上がれば、さらに増税ということになりかねません。

 

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