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【経済Q&A】

大企業に恩恵 米国復帰を期待 日本、TPP存命なぜ必死

TPP首席交渉官会合であいさつする梅本和義首席交渉官(中)=31日、千葉県浦安市で

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 米国の離脱で漂流の危機に陥った環太平洋連携協定(TPP)。日本は残る参加国と11月1日まで、千葉県浦安市で首席交渉官会合を開き、米国を除いた協定の大筋合意に向けた調整を進めています。なぜ日本はトランプ米大統領が「最悪の協定」と非難したTPPの維持を目指すのでしょうか。 (矢野修平)

 Q 日本は米国の抜けたTPPの存命に必死です。

 A 米国の復帰に望みをつなぐためです。日本が諦めれば、政権交代前の米国と主導して作った多国間貿易の枠組みは崩れます。

 Q 政府がTPPにこだわる理由は。

 A 各国間の関税が低くなれば海外で生産する日本企業が活動しやすくなるほか、国内の消費者にも食料品が安くなるなどメリットがあり、日本経済にプラスになるとの判断があるためです。

 Q 企業への利点とは。

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 A 自動車会社などは部品生産から組み立て、完成までの各過程を国境を越えて行っています。各国間に関税があり、工場の進出国ごとに企業秘密の保護などの取り決めが違っていては、コストがかさみます。貿易や投資のルールが同じ貿易圏を多国間でつくれば、その中で企業は人件費の安い国などへ自由に行って、事業の効率化を図ることができます。

 Q 企業の利益が増えるのにトランプ氏が反対しているのはなぜですか。

 A カナダ、メキシコと結ぶ北米自由貿易協定(NAFTA)への不満があるのです。企業がメキシコへ工場を移し、雇用が奪われたとの批判が白人労働者から強まっています。トランプ氏はそうした声を背にNAFTAの再交渉に入り、TPPからも抜けました。

 Q 雇用を重視するトランプ氏の主張も一理あるように思えます。

 A 自国産業の保護に傾くトランプ氏のやり方は、国内の消費者の利益を損ない、各国に対立を生む弊害も懸念されます。しっぺ返しで自国からの輸出も減れば雇用創出につながるかも分かりません。ただ、自由貿易が生む負の影響への手当てが欠かせないのは確かです。

 Q 日本はTPP合意を急いでよいのですか。

 A 企業優先のTPPが国内産業の空洞化を促しかねない点は警戒すべきです。輸入品との競争にさらされる農業生産者への支援なども同時に必要です。

 

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