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【経済Q&A】

就活ルール「廃止」浮上の背景は? 「守れば損」指針形骸化

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 経団連の中西宏明会長が三日に就職活動ルールの廃止に言及し、議論を呼んでいます。急な変更は採用の早期化などで学生を混乱させる恐れもあります。就活ルール見直しが浮上した背景を探りました。 (渥美龍太)

 Q 就活ルールとは何ですか。

 A 経団連は三月から会社説明会、六月から面接という採用のルールを指針で定めています。原型は大学側と企業側が一九五三年に結んだ「就職協定」。協定廃止後も企業側は、学業に配慮し早期の採用を自粛するルールを定めてきました。経団連に加盟する大手企業は基本的にこのルールに従ってきました。学生の「青田買い」の歯止めになりきれていないとの指摘は多いですが就職活動時期の一定の目安にはなっています。

 Q 経団連が廃止を望むのはなぜですか。

 A 会員ではない外資系やITベンチャーはもともと指針に縛られないうえ、会員企業も解禁前に非公式に学生と接触するなど、指針を「守れば損をする」形骸化が指摘されています。外資系だけでなく世界展開している日本の巨大企業では、優秀な外国の学生らを中途でいつでも採る「通年採用」が増えています。政府内でも麻生太郎財務相が四日に就活ルールの廃止を「一考に値する」と述べるなど、後押しする意見があります。

 Q 廃止すると、どんな影響がありそうですか。

 A 大企業は優秀な学生をより早く囲い込めますが、学生側は時期の目安がなくなることで、一、二年生のうちから就職活動に追われる懸念が出てきます。学校の勉強や研究が落ち着いてできないなら結局、中長期的に日本企業の競争力が落ちることになります。また、人手不足で採用が厳しい中小企業は、大企業が採用の前倒しや通年化をすれば、ますます人手の確保が難しくなりかねません。

 最近は、「学業優先」を掲げた政府が経団連に要請して採用の解禁日が先送りされるなど、企業と政府の判断で解禁時期がころころ変わって学生が翻弄(ほんろう)されてきました。廃止という大きな変更であればなおさら、結論ありきではなく学生を第一に考えた本格的な議論が求められます。

◆同友会代表幹事「前向きに評価」

 経済同友会の小林喜光代表幹事は四日の記者会見で、経団連の中西宏明会長が、就職活動の時期などを定めた「就活指針」を二〇二一年に卒業する学生から廃止する考えを示したことについて「(議論に)一石を投じたことを前向きに評価したい」と歓迎の意向を示した。

 小林氏は「(海外進出した現地などで)能力のある人材をいかに採用していくか(経営側は)常に考えている。一括採用から終身雇用の社会は、今や明らかに変革を迫られている」と指摘。就職活動の時期が早まると学業に支障があるとの見方に対して「学生が就職活動しながら、勉強ができなくなることはないはずだ。机上の勉強をするだけの人材を企業は求めていない」とも強調した。

 

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