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【経済】

生活苦でも地方税徴収 滞納者を追い込む自治体

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 住民税や固定資産税などを納税しようにも払えない地方税滞納者が、自治体から厳しい徴収を受け、生活が困窮したり、精神的に追い詰められたりするケースが相次いでいることがわかった。滞納者への徴収は個別事情に応じて柔軟に対応することが原則だ。しかし事情を把握しないまま、画一的に徴収、結果的に生活苦に追い込んでいる。学者や税理士なども是正を求め始めた。 (須藤恵里)

 多くの国民は遅滞なく納税しており公平性を確保するためにも、滞納者に対する徴収は重要だ。だが、まじめに働いてきた人が病気で倒れて稼ぎがなくなるなど、税金を払いたくても払えない状況に陥るケースもある。税の徴収が生活を追い詰めることにならないよう、国税庁や地方行政を所管する総務省は、税の徴収は「個々の滞納者の事情を把握した上で取り組む」ことを原則としている。

 しかし、滞納問題に詳しい福田悦雄税理士は、地方税の現場で「自治体による機械的な徴収の結果、追い詰められる例が起きている」という。本来、生活苦に陥る恐れがある場合などは、納税猶予の制度もある。だが、自治体が生活状況を正しく把握せずに、ぎりぎりの生活を送る年金生活者や収入がほとんどない人などに対しても、一般の滞納者と同様に徴収や差し押さえを実施。その結果、消費者金融などから高利の借金をして納税したり、「もう死ぬしかない」などと精神的に追い詰められたりする人が出てしまうという。

 こうした徴収について、大学教授など税の専門家らで構成する「民間税制調査会」(座長・三木義一青山学院大学長、水野和夫日大教授)は、自治体の構造的問題が背景にあると分析する。つまり(1)自治体職員は人事異動で税務担当部署に配属され、習熟する前に転属してしまう(2)小規模の自治体では、税務を専門に担当するだけの職員数がいない−といった点だ。

 民間税調は、こうした体制を改めるよう昨年十二月に提言。また福田氏ら東京を中心とする税理士グループは昨年九月、「滞納相談センター」=電話03(6268)8091=を発足。寄せられた相談は三カ月で四十件を超えた。

 <地方税の滞納> 所得税や相続税などの国税は国税庁が徴収するが、住民税や固定資産税といった地方税は市町村が徴収を担う。住民税はサラリーマンなどの場合、給与から天引きされるが、自営業者や企業退職者などは、自ら納税しなければならない。こうした税金を納税者が期限までに払わない場合、滞納となり、延滞税などが課される。

 

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