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【経済】

アベノミクスの窮地鮮明 GDP年1.4%減

 内閣府が十五日発表した二〇一五年十〜十二月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0・4%減、この成長が一年続くと仮定した年率換算で1・4%減となり、二期(六カ月)ぶりにマイナス成長に転じた。GDPの約六割を占める個人消費が落ち込んだことが響いた。 (山口哲人)

 政府は一五年度の実質成長率の目標(経済見通し)を1・2%としているが、実現には一六年一〜三月期で前期比年率8・9%の大幅な伸びが必要になり、達成は極めて困難な状況だ。

 一五年十〜十二月期は個人消費が前期比0・8%減と二期ぶりにマイナスに陥り、成長率全体を押し下げた。物価上昇に賃金の伸びが追いつかず、消費者心理が冷え込んでいる。暖冬で冬物衣料や灯油などの販売が振るわなかったことも響いた。

 住宅投資は1・2%減。一四年四月の消費税増税で大きく落ち込んだ後は回復基調が続いていたが、住宅価格の高騰で再び買い控えの傾向が強まった。

 企業の設備投資は1・4%増で二期連続のプラスとなったが、公共投資は二期連続マイナスの2・7%減と大幅に落ち込んだ。

 輸出は船舶や半導体製造装置などが伸びず0・9%減とマイナスだった。

 物価変動をそのまま反映した名目GDP成長率は前期比0・3%減、年率換算で1・2%減だった。

 同時に発表した一五年一年間の実質GDP成長率は、前年比0・4%増と二年ぶりにプラスに転じた。名目成長率は四年連続プラスの2・5%増。

◆個人消費・輸出不振 「好循環」回らず

 <解説> 二〇一五年十〜十二月期の実質国内総生産(GDP)成長率がマイナスに転じたのは、GDPの約六割を占める個人消費が低迷。輸出や民間住宅投資など主要項目が軒並み悪化したためだ。安倍政権の経済政策「アベノミクス」は金融緩和で円安・株高を誘導、企業収益を上げて設備投資や賃上げにつなげる経済の好循環を狙ったが、導入から三年近くを経て「日本経済の成長を押し上げる」という最も重要な効果は上がっていないことがはっきりしてきた。

 個人消費は、暖冬という特殊要因も押し下げたが、物価上昇分を差し引いた昨年の実質賃金は四年連続のマイナス。消費税増税などで家計の負担が増す中、賃金の伸びが生活必需品などの物価上昇のペースに追いつかず、消費者の節約志向はなお根強い。

 企業業績は過去最高の水準に達し、設備投資は持ち直しつつあるものの、内需も先細る中で「企業は今後も大掛かりな投資はしにくい」(エコノミスト)状況だ。輸出もアジアや米国向けなどが振るわず、二・四半期ぶりに減少した。

 さらに、年明けからは中国経済の減速や原油安など、世界経済の不透明感から円高・株安が急激に進行。先行き不安が増す中で個人消費の回復のカギを握る賃上げは企業が慎重な姿勢を示しており、暗雲が立ち込めている。

 日銀のマイナス金利政策の効果も不透明で、このまま円高・株安が進むと企業の業績に冷や水を浴びせかねない。安倍政権は今年も企業側に賃上げを求めたが、賃上げムードが停滞すれば個人消費の回復は一層遠ざかる可能性がある。 (神野光伸)

 

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