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【経済】

再生エネ選択はまだ先 電力小売り全面自由化

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 家庭も電力の購入先を選べるようになる電力の小売り全面自由化が、4月から始まる。東京電力福島第一原発事故を機に「原発に頼らず、太陽光や風力などの再生可能エネルギーに力を入れる会社を選びたい」と思う人も多いはず。だが再生エネの小売会社はまだ少ない。消費者がそうした会社を選べるようになるには、少し時間がかかりそうだ。 (岸本拓也)

■ 遅れる参入

 自由化を控え、ガスや通信会社など、家庭向けの電力小売りに参入する事業者(新電力)が相次いで電気料金メニューを発表している。新電力各社は、自前の発電所に加えて大手電力や発電会社から電力を卸売りしてもらうなどし、販売用の電源を調達する。

 しかし、再生エネ中心の新電力はまだ少ない。複数の市民団体が主体となって、再生エネに力を入れる小売会社を応援しようという「パワーシフト・キャンペーン」が紹介するのは計十社。このうち四月から家庭向け小売りを始める予定なのはLooop(ループ、東京)、みんな電力(東京)、千葉電力(千葉県八千代市)、みやまスマートエネルギー(福岡県みやま市)の四社で、「準備中」の会社も目立つ。

 キャンペーン事務局の吉田明子さんは「料金の安さでなく、再生エネの発電を選びたいという消費者は多い。今後も紹介する電力会社を増やしたい」と話す。このほかでは、ソフトバンクが再生エネ中心の電力プランをつくる予定だ。

■ 二つの問題

 再生エネ中心の新電力が準備に時間を要している理由は主に二つ。ノウハウの乏しさと電源の問題だ。

 大口顧客への電力販売の経験がある都市ガスや石油系、通信といった大企業は対応が可能だが、再生エネ系の多くは規模が小さく、経験も乏しい。

 電源の問題も大きい。再生エネ系の大半は、国の固定価格買い取り制度を利用して太陽光など、再生エネの電気を調達する。この制度を使えば交付金がもらえ、電源の調達コストが安くなるためだ。だが、この制度で導入が進んできたのは太陽光。太陽光で電気を調達できるのは晴れた日中分だけで、悪天候時も発電できるバイオマスや小水力、地熱は需要に供給量が追いついていない。

 また再生エネの発電会社は既存の大手電力に売電するケースが多い。ある新電力は「売ってほしいと交渉しているが、売る側も大手の方が安心と思うようで苦労している」と漏らす。

■ 情報開示を

 今後、再生エネ中心の新電力を選べば原発と関わりがなくなるかというと、そう単純でもない。送配電網に送られた電気は原発や火力といった発電方法に関係なく、すべてが「混じる」ため、家庭にも原発の電気が届く理屈になる。また新電力の多くは、再生エネで調達できない分に関しては、大手電力から電力を買わざるを得ず、ここに原発の電気が混じってくる。

 ただ再生エネを購入先として選ぶことで、将来の「脱原発」につながる可能性はある。電力自由化に詳しい都留文科大の高橋洋教授は「消費者が再生エネによる発電に力を入れる新電力を支持すれば、発電会社は再生エネを増やそうと投資に力を入れる。逆に原発が支持されないことがはっきりすれば、原発の新設は難しくなる」と指摘する。

 時間はかかるが、脱原発に向かうかどうかは消費者の選択次第だ。高橋氏は「消費者がきちんと選択できるよう、電源構成だけでなく、CO2(二酸化炭素)や原発の使用済み核燃料の排出量といった情報開示が必要」と話す。

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