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【経済】

首相の「リーマン級」に異論 エコノミスト「データちぐはぐ」

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 安倍晋三首相は二十七日に閉幕した主要国首脳会談(伊勢志摩サミット)で、リーマン・ショック時と同じ程度の下落を示す一部の経済指標を持ち出し「世界経済の危機だ」と繰り返した。しかし、エコノミストからは「今の世界経済はリーマン・ショックの時と状況が異なる。例示するデータがちぐはぐだ」と冷めた意見が相次いでいる。 (白山泉)

 中国など新興国による投資の伸び率がリーマン・ショック後より低くなっている、新興国への投資もリーマン・ショック後初めてマイナスに転落−。安倍首相はこうしたデータを示して「世界経済の危機」を強調した。

 しかし、第一生命経済研究所の西浜徹氏は「新興国の減速リスクはゼロではないが、欧米経済は堅調なので、世界経済の危機を招くとは思えない。中国では昨年、株バブルがはじけたが世界で金融不安は起きていない」と話す。

 サミットで安倍首相は、二〇一四年六月からの一年半で原油や食料などの国際商品価格が55%下落し、リーマン・ショック時と同水準になったことも示した。

 これに対して三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二氏は「〇八年に商品価格が大きく下落したのはリーマン・ショックが起きてからだ。最近の下落幅が同じといっても(産油国の綱引きなど)原因は当時と違っており、これから危機が起きるという理由にはならない。原油価格は一バレル=五十ドルに戻るなど、商品価格はむしろ底入れしている」と述べた。

 安倍首相がこじつけとも言えるデータを示して「危機に陥るリスクに立ち向かう」と強調した背景について、ある金融市場関係者は「日本経済は不調が続いているが、アベノミクスが失敗しているとは口が裂けても言えない。景気対策の財政出動をするためには、リーマン・ショック級のデータを示すしかなかったのだろう」と指摘している。

     ◇

 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は二十七日、世界経済の現状について「(リーマン・ショックが起きた)二〇〇八年のような時期ではない。危機からは抜け出した」と述べた。サミット閉幕後、三重県伊勢市内で記者団の取材に応じた。 (共同)

 

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