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【経済】

防衛費厚く 暮らし圧迫 17年度予算案閣議決定

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 政府は二十二日、一般会計の歳出総額が過去最大の九十七兆四千五百四十七億円となる二〇一七年度予算案を閣議決定した。防衛費を五年連続で増やし過去最高を更新したほか、働き方改革や子育て支援のための予算を手厚く配分した。一方で、高齢化の進展による医療や介護など社会保障費の伸びを抑えるために、一部の高齢者や現役世代の負担が増えるなど暮らしに厳しい政策が並んだ。税収不足の穴埋めに新たな国債を発行し続ける借金頼みの予算編成は続いている。

 総額は一六年度当初予算から七千三百二十九億円増え、五年連続で過去最大となった。新規国債発行額は三十四兆三千六百九十八億円で、歳入の35・3%を占める。政府は年明けの通常国会に提出し、三月末までの成立を目指す。

 防衛費は前年度当初比1・4%増の五兆一千二百五十一億円。二年連続で五兆円を突破した。

 予算案は、政府が掲げる「一億総活躍社会の実現」に向け非正規社員の待遇改善や、長時間労働の是正に取り組む企業への助成金などを盛り込んだ。待機児童を解消するための保育所の整備や保育士の賃金アップ、所得税の配偶者控除の上限引き上げで、働きやすい社会を目指している。教育の格差解消に給付型奨学金の創設や、無利子の奨学金にも予算を配分した。

 全体の予算の33・3%を占める社会保障費は三十二兆四千七百三十五億円。前年度からの伸びを約五千億円に抑えるため高齢者に能力に応じた負担を求めた。一定以上の所得がある七十歳以上を対象に高額療養費の自己負担を引き上げる。七十五歳以上の後期高齢者医療制度では保険料を段階的に引き上げる。大企業に勤める一部の現役世代では介護保険料が増額となる。

◆安倍カラー鮮明 社会保障は抑制

<解説> 政府の二〇一七年度予算案は、過去最高を三年連続で更新した防衛費や前年度から微増となった公共事業費など、安倍政権が重視する政策がひと目で分かる編成になった。円安という追い風に乗った税収増加に陰りが見えるなかで、政権色を優先した予算のしわ寄せは国民の日常生活に及ぶ。

 安倍政権は「経済再生なくして財政健全化なし」を掲げ続けている。一二年十二月に発足した第二次安倍政権以降に編成された過去四度の予算では、税収増とともに国債(借金)の発行を減らしてきた。

 だが、今年前半に進んだ円高で輸出企業を中心とする法人税収は伸び悩み、税収増の潮目は変わりつつある。一七年度予算案と同時に閣議決定した一六年度第三次補正予算では、想定していた税収が実現できず、赤字国債の追加発行を余儀なくされた。

 十一月以降、為替相場では米国の次期大統領に決まったドナルド・トランプ氏による景気対策への期待から、再び円安ドル高に動いている。これを見た安倍政権は来年度の税収を強気に見込んでいるが、思惑でも動くのが為替相場だ。新大統領のかじ取り次第で、あっという間に円高に反転する可能性はある。

 それでも安倍政権は防衛費や公共事業を重視する姿勢は崩さない。保育士や介護士の処遇改善なども予算の目玉に挙げるが、現役世代向けの予算額はまだ少ない。一方で、先進国の中で群を抜く借金を減らすため、高齢者の医療費など社会保障費は抑制された。この予算編成が暮らしに優しくないと言われても仕方がない。(桐山純平)

  

 

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