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【経済】

東芝、数千億円損失か 米原発事業で巨額赤字

厳しい表情で記者会見に臨む東芝の綱川智社長=27日、東京都港区の東芝本社で

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 経営再建中の東芝は二十七日、米国の原発事業を巡り最大で数千億円規模の損失が生じる可能性があると発表した。米原発事業で巨額損失を計上するのは二年連続。東芝は不正会計問題に伴う巨額の赤字計上で財務基盤が弱っており、資本増強を含めた経営の抜本的な見直しを迫られそうだ。

 損失が発生するのは、子会社の米原発メーカー、ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)が昨年十二月に買収した米原発建設会社「CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)」。米国で建設中の原発四基のコストが想定より膨らんだことが影響した。東芝は損失額の確定を急ぎ、二〇一六年四〜十二月期連結決算に反映させる。

 東芝の綱川智社長は記者会見で「責任は痛感している。処理に真摯(しんし)にあたることに集中したい」と謝罪し、原発事業に関しては「将来は事業の位置付けを見直す可能性はある」と述べた。同席した経営幹部は「米国で建設を進めている原発の費用が、想定より大きい」と損失を計上する理由を説明した。

 東芝は経営再建策として原子力事業を収益の柱としているが、一六年三月期に米原発事業の資産価値の低下で二千四百七十六億円の減損処理を実施。これらを含め、連結純損益は過去最悪の四千六百億円の赤字に陥った。

 一七年三月期は、もうひとつの柱である半導体事業の持ち直しで千四百五十億円の黒字に回復すると見込んでいたが、今回の損失計上で再び赤字となる可能性が出てきた。

 東芝は財務の基盤である株主資本が、今年九月末時点で三千六百三十二億円となっており、今回の損失でさらに削られる恐れがある。

 銀行に支援を仰ぎ、財務基盤強化のために資本を増強する方針。

◆再建の柱原発コスト誤算

 また東芝の原子力事業がつまずいた。二〇一六年三月期に二千五百億円規模の損失を計上したばかりだが、再び巨額損失が確実に。不正会計問題からの再建の柱として原発を掲げる経営陣の見通しの甘さがあらわになった形だ。

 「当時はリスクを上回るメリットがあると判断した」。綱川智社長は記者会見で、損失が発生する見込みとなった米原発建設会社「CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)」の買収を決断した理由について釈明に追われた。

 だが、ふたを開けてみると、S&Wの原発建設で想定以上にコストが膨らむことが判明した。原発担当の畠沢守執行役は「東日本大震災以降、世界的に安全を最優先にモノをつくるようになったことが影響しなかったとはいえない」と説明。コストが増えた要因の詳細は精査中だが、安全対策にかかる費用が当初の計画よりかさんだとみられる。

 東芝は原発事業で失敗が続いてきた。〇六年には原発の需要増を見込み、米原発会社ウェスチングハウス・エレクトリックを約六千四百億円で買収したが、一一年の大震災後、原発新設は世界中で停滞し、昨年度の損失計上につながった。

 S&Wの買収を決めたのは昨年十月という。その半年前には不正会計問題が発覚しており、エース経済研究所の安田秀樹アナリストは「収益の柱の原発事業が滞ることを恐れるあまり、十分に精査せず、買収を焦ったのでは」と分析している。 (伊藤弘喜)

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