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【経済】

トランプ氏、トヨタを批判 米国に工場を建設しないなら高額の関税を払え

トランプ次期米大統領=昨年12月(AP・共同)

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 【ワシントン=石川智規】トランプ次期米大統領は五日、自身のツイッターで、トヨタ自動車がメキシコに建設予定の新工場について「とんでもない!(No Way!)」と批判し方針の転換を迫った。トランプ氏は大統領選に当選後、米国企業のメキシコへの工場移転を企業名を名指しして批判してきたが、日本を含む海外の企業をやり玉に挙げたのは初めて。

 トランプ氏は「トヨタ自動車はメキシコのバハに、米国向けのカローラを生産する新工場を建設すると言った。とんでもない! 工場を米国内に建設しなければ、多額の国境税(関税)を支払え」とつづった。

 トヨタは二〇一五年四月、メキシコ中部のグアナフアト州に約十億ドル(千百五十億円)をかけて新工場を建設すると発表した。約二千人を新規に雇用し、小型車カローラを年二十万台生産する計画で、一九年の稼働を目指している。

 トヨタの豊田章男社長は五日、東京都内での賀詞交歓会で「ひとたび開けた工場は、できるだけわれわれの理由で閉めたくはない」と述べると同時に、メキシコ工場の建設計画を変更しない方針を示した。一方で今後は「新大統領の決断をみながら判断していきたい」とも述べた。

 豊田社長の発言を米ウォールストリート・ジャーナル紙(電子版)が五日に報じ、トランプ氏が反応したとみられる。同紙はグアナフアト州の新工場と、トヨタが生産能力を増強する計画のメキシコ北西部バハカリフォルニア州の既存工場について記述。トランプ氏は二つの工場を混同し新工場の建設予定地を誤って記したとみられる。

 トランプ氏の批判に対し北米トヨタは五日「トヨタの米国内の生産量や雇用は新工場が稼働しても変わらない」とする声明を発表。「消費者と自動車産業の発展に向け、トランプ新政権と協力することを楽しみにしている」とした。トランプ氏はメキシコへの工場移転を進める米国企業を名指しで批判。対象企業の一つのフォードは三日、移転方針を撤回した。

      ◇

 トヨタ自動車の首脳は六日、トランプ氏の批判について「まずは事実の確認をしたい」と困惑を隠さなかった。別のトヨタ幹部も、「いまメキシコ工場を中止したら政府との関係が悪化し、二度とメキシコで車を造れない。新しい米政府に理解してもらうよう努力するしかない」と、苦しい胸の内を明かした。

 トヨタ内にはトランプ氏の批判は、トヨタの米国での事業に対する知識不足から生じているとの思いが強い。トヨタは一九九〇年代前半の日米自動車摩擦以降、米国での生産を増やし、二〇一六年一〜十一月には米国販売の六割に当たる百三十万台を生産。雇用や納税面で米社会に貢献してきたとの自負がある。

 首脳は「米国で一貫して生産を増やしてきたし、これからも増やしていく」と述べる一方、型破りな言動を続けるトランプ氏に「聞く耳を持ってもらえるだろうか」と不安ものぞかせた。

◆ソニー社長「自由な企業活動を」

 【ラスベガス=共同】ソニーの平井一夫社長は五日、トランプ次期米大統領のトヨタ自動車批判に関連し「人、物、カネ、情報が自由な形で流れていくことを担保するよう各国のリーダーにメッセージとして出していきたい」と述べ、企業活動の自由を確保するよう求めた。

 米家電見本市「CES」に出席するため訪れたラスベガスで記者会見した。平井氏は「実際に大統領になったらどうするのか、方針が見えたところでどう対応するかが大事だ」とも述べた。

 ソニーによると、同社は米国との国境に近いメキシコ北部に自社工場を保有。DVDを生産し米国などに向けて輸出している。

 <米企業の生産移転> 米国、カナダ、メキシコが段階的に関税や輸入制限を撤廃する北米自由貿易協定(NAFTA)が1994年に発効し、人件費が安いメキシコに生産を移す米企業が相次いだ。NAFTAにより製造業を中心に約68万人の雇用が米国から消えたとする推計もある。かつて自動車製造や鉄鋼生産で栄えた米東部から中西部の「ラストベルト(さびた工業地帯)」などでは雇用が奪われたとの不満が根強く、トランプ次期米大統領は大統領選で企業の生産移転を強く批判。対応策を取ると公約していた。 (共同)

 

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