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【経済】

日本、通商戦略厳しく トランプ政権「2国間交渉」に軸足

 トランプ米大統領が就任直後に環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を正式表明した。TPPは発効不能となり、安倍政権は通商政策の再構築を迫られる。トランプ氏は北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に乗り出す方針も表明。カナダやメキシコに進出する日系企業が打撃を受ける可能性も出てきた。 (矢野修平、妹尾聡太)

 トランプ氏は就任演説で「(自国産業や雇用の)保護こそが素晴らしい繁栄と強さをもたらす」と訴えた。TPPからの離脱は、こうした保護主義の象徴となった。安倍政権は国内総生産(GDP)を六百兆円に増やす目標の達成にTPPは欠かせない存在だ、と位置付けていただけに影響は大きい。日本商工会議所の三村明夫会頭も「わが国を含めたグローバル経済にとってマイナスの影響を及ぼす」と懸念した。

 安倍晋三首相は二十日の施政方針演説でTPPの意義について「今後の経済連携の礎となる」と強調。現段階では米国の翻意を促す考えを崩していない。だがトランプ氏はTPPに代わって日米二国間の貿易交渉を求める方針だ。米国経済に詳しい、みずほ総合研究所の安井明彦・欧米調査部長は「日本にとって厳しい交渉になるだろう。勝ちか負けかという世界観のトランプ氏に対し共存共栄の落としどころを探るしかない」と指摘した。

 安倍政権は経済成長につながるとし、二〇一三年七月にTPP交渉に入り、農業界の反対などを押し切って一五年十月に参加十二カ国で基本合意した。今月二十日には国内手続きを参加国で初めて完了。発効されれば、GDPを十三兆六千億円押し上げる効果があると見込んでいた。

 このほかトランプ氏はNAFTAの再交渉を始める考えも表明し、離脱も辞さない構えを示した。カナダやメキシコは米国への工業製品の輸出拠点で、交渉の行方次第では現地に進出している自動車メーカーなどが影響を受ける。メキシコに工場を持つマツダの広報担当者は「どのような政策でも、施行されることになれば対応していく」とコメントした。

 さらにトランプ氏は米国製品の購入と米国人の雇用も求めた。米国に工場を構える別の自動車メーカーの関係者は「米国でのビジネスの歴史は長い。今まで通りやっていく」と述べ、日本メーカー車の現地生産や販売は米国民に根付いていると主張した。

 <環太平洋連携協定(TPP)と北米自由貿易協定(NAFTA)> TPPはモノの関税の撤廃や削減だけでなく、投資や知的財産のルールを含んだアジア太平洋地域での包括的な協定。参加12カ国は2015年10月に大筋合意し16年2月に署名した。NAFTAは米国、カナダ、メキシコが段階的に関税や輸入制限を撤廃する協定で、1994年の発効後、人件費が安いメキシコに生産を移す企業が相次いだ。

 

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