東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

米国抜きTPPは「利」乏しく 豪など農産国にはなお魅力

写真

 米国が、日米など十二カ国で合意した環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を決めたことで、TPPは発効しないことが確実になった。加盟国の中には米国抜きの協定に組み替えようとする動きもあるが、安倍晋三首相は「(経済規模の大きな)米国抜きでは意味がない」と引き留めに躍起。しかし米国の代わりに中国などを引き入れようという声があがるなど、各国の利害をめぐる思惑が交錯して十二カ国の枠組みは空中分解に瀕(ひん)している。 (吉田通夫)

 TPPは発効前の離脱について規定がなく、「離脱を表明したといっても(TPPが消滅するなどの)変化はない」(世耕弘成経済産業相)。一方で、発効するには少なくとも加盟国の国内総生産(GDP)の85%超を占める六カ国が国内の承認手続きを終えなければならない。このため60%を占める米国の離脱決定で、TPPは消滅も発効もしない「凍結」の状態になる。

 トランプ氏がTPPからの離脱を掲げて大統領選に勝利して以降、加盟国からは米国抜きでも発効するように協定を書き換えようという発言もあった。しかし、安倍首相は昨年十一月の記者会見で「米国抜きのTPPは意味がない」と否定した。市場規模が段違いに大きい米国なしでは輸出増のメリットがなくなり、オーストラリアなどから輸入する牛肉の量が増えるなどデメリットばかりになる可能性があるからだ。

 逆に、オーストラリアやニュージーランドなど農産物に強みを持つ国には、米国抜きでも市場規模の大きい日本向け輸出が増える。このため「TPPには依然として意味がある」(ニュージーランドのマクレー貿易相)と米国抜きでの発効を目指す意見があがる。

 さらにチリのムニョス外相は二十三日、TPP加盟国の閣僚会合を呼び掛け、米国の代わりに中国や韓国を招いて新たな枠組みに置き換える考えを示したとされる。日本は「中国が加われば、著作権ルールなどが中国に都合がよいように変更される」(政府関係者)と反対で、実現は困難とみられる。米国という超大国が抜け、各国の利害調整は収拾がつかなくなっている。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】

PR情報



ピックアップ
Recommended by