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【経済】

推進役 志賀会長退任へ 人材・技術 流出の恐れ

志賀重範会長

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 東芝の原発部門を担当する日本と米国のトップ二人が退く方向となった。日本の原発政策を支えてきた伝統事業の凋落(ちょうらく)が露呈。東芝では今後、技術者の流出が加速し、技術基盤の維持が困難になる恐れがある。同社が中心的な役割を担う東京電力福島第一原発の廃炉作業への悪影響も懸念され始めた。 

 「原発部門の改革は生煮えだ」。東芝の関係者の一人は経営陣の危機感の乏しさを痛烈に批判し、「こんな程度ではまったくダメ。話にならない」と切って捨てた。

 綱川智社長は二十七日の記者会見で、原発事業を縮小する方針を表明。巨額損失の原因となった米子会社のウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の経営管理を厳格化するとともに、「(海外の)新規受注は考え直す」と述べ、海外での原発建設の新規受注を事実上凍結する考えを示した。

 原発事業を統括してきた志賀重範会長とともに退任が見込まれるWHのダニー・ロデリック会長は、二〇三〇年度までに六十五基の受注を目指すと意気込んでいたが、事業の抜本見直しで計画は水泡に帰すことになりそうだ。

 東芝の原発事業はこの先、保守・点検や廃炉が中心になっていくとみられる。事業の縮小に伴い懸念されるのが技術者の流出だ。高度な専門知識を持つ技術者が、今後東芝では本格的な仕事ができないと見切って続々と他社に転じることも考えられる。そうなった場合、同社は技術基盤の維持が難しくなる。

 政府は原発の新増設に慎重で、日本国内での原発関連の仕事は先細りが確実。政府内には東芝を辞めた技術者が、原発に積極的な中国やロシアに流出することへの警戒感も高まる。

 東芝は事故を起こした福島第一原発に建設段階から深く関わっている。炉心溶融(メルトダウン)した2、3号機と、5、6号機の主契約者で、事故後は、原子炉建屋の地下などにたまった汚染水を処理する設備の開発に関わるなど、廃炉作業で重要な役割を担っている。

 2号機の廃炉では、最難関となる溶けた核燃料(燃料デブリ)の取り出しに向け東芝主導の調査が始まったばかりだ。二十六日も東芝社員らが高線量の原子炉建屋に入り、特殊な装置で原子炉格納容器内部の撮影を行った。高線量に耐えるカメラの開発は難しい上、被ばくの危険を伴う廃炉作業には熟練した技術が必要で、東芝は欠かせない存在になっている。

 

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