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【経済】

入国禁止に米IT業界から批判噴出 「多様性は武器」「移民は生命線」

 【ニューヨーク=東條仁史】トランプ米大統領がイスラム圏七カ国からの入国禁止などを決めたことで、人材の多様性を重んじる米企業から批判が噴出している。中でも、海外の優秀な人材を成長の源泉としてきたIT企業はその先頭に立つ。IT企業はグーグルをはじめ移民出身のトップも多い。一部米メディアは、トランプ氏が就労ビザ改革の準備もしていると報じており、両者のせめぎ合いは激しさを増しそうだ。 

 「優れた才能を米国にもたらすのに障壁を作る」。グーグルは声明で反対姿勢を鮮明にした。同社は共同創業者のセルゲイ・ブリン氏自身、少年の時に親と旧ソ連(現ロシア)から移民してきた。同氏は先週末サンフランシスコ国際空港での抗議行動にも駆けつけた。

 「トランプ氏の政策を支持しない。アップルは移民なしでは存在しない」。アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)も従業員に、こう表明した。米国を代表する産業となったIT業界。アジアや東欧など出身地を問わず、全世界から優秀なエンジニアが集まり、競争と交流を通じて世界経済を引っ張る技術革新を起こしてきた。移民はIT業界の「生命線」だ。米調査機関によると、IT企業が並ぶカリフォルニア州シリコンバレーで働く十六歳超のうち、45・9%(二〇一四年時点)が外国生まれだ。

 米ブルームバーグ通信によると、トランプ政権は就労ビザの見直しも検討している。採用は米国民を優先するとの内容。実現すればIT企業に打撃を与える。

 三十日のニューヨーク株式市場ではダウ工業株三十種平均が二万ドルを割り込んで取引を終えた。これも、アップルなどが売り込まれたため。投資家は「多様性」という米国経済の最大の武器を損なう「トランプリスク」を意識し始めている。

 米シンクタンク、ブルッキングス研究所のダレル・ウエスト氏は「最先端技術の担い手は、米国人だけでは不足する。人材確保のため、IT企業が海外に拠点を移すことにもなりかねない」と警告する。

 一方、トランプ氏の政策批判は、IT業界以外にも広がっている。トランプ政権に人材を送り込んだ金融大手、ゴールドマン・サックスのロイド・ブランクファインCEOは「支持できる政策ではない」と表明。「身内企業」からも反発の声が上がっている。

 

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