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【経済】

「円安誘導」と日本批判 トランプ氏、日銀緩和を問題視か

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 【ワシントン=後藤孝好】トランプ米大統領は一月三十一日、ホワイトハウスで開かれた米製薬会社幹部らとの会合で「日本や中国が為替を操作して、通貨安に誘導している。米国がばかをみている」と日本を名指しして批判した。トランプ氏は米国の対日貿易赤字の削減を強く主張しており、二月十日に予定されている安倍晋三首相との首脳会談で、日本側に円安ドル高の是正を求める可能性がある。 

 トランプ氏は大統領選で日本を「通貨安に誘導している」と批判したことがあったが、就任後に日本の為替政策に直接言及したのは初めて。米大統領が為替問題で主要な貿易相手国を批判するのは異例といえる。

 トランプ氏は「他国が通貨供給量や通貨安誘導で有利な立場を取っている。米国はひどい状況が続いてきた」と為替操作を問題視。「中国や日本が長年、やってきたことを見てみろ。通貨の切り下げをやってきた」と述べた。

 トランプ氏は円安誘導の手法として、日銀の大規模な金融緩和策を意識しているとみられる。日本は円売り・ドル買いによる為替介入を、二〇一一年十一月を最後に実施していない。

 米国第一主義を掲げるトランプ氏は中国や日本、メキシコなどとの貿易赤字の削減を優先課題に掲げている。日本などへの為替批判は自国製品の輸出に不利なドル高の進行を抑えたい狙いがあるとみられる。

 トランプ氏は一月二十六日に米東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで開かれた米共和党の会合でも、「通貨安誘導に対して、極めて強い制限を導入していく」と表明。自由貿易協定(FTA)など二カ国の貿易協定に、相手国の通貨安誘導を監視するような為替条項を盛り込みたい考えを示していた。

◆過去5年、市場介入なし

 トランプ米大統領が就任して初めて、円安ドル高に誘導しているとして日本の為替政策を批判した。為替操作の国として一緒に名指しされた中国が日常的に為替介入しているのと違って、日本は五年余りも介入を行っていない。二〇一三年四月に始まった日銀の大規模な金融緩和を問題視しての発言とみられる。

 デフレ脱却を目的に行われている日銀の金融緩和で金融市場に大量にお金が出回り、円安を進行させる要因となったのは事実。米国も金融危機の対応として、〇八年のリーマン・ショック後に金融緩和を実施した結果、ドル安に動いた。だが、トランプ氏はその点には触れていない。

 直近の円安ドル高は必ずしも日銀の金融緩和だけが原因ではない。トランプ氏の経済政策への期待や、米国の利上げによる金融引き締めが要因とされる。

 トランプ氏の批判で日銀が将来、さらなる金融緩和に動きにくくなる可能性はあるが、今すぐに追加緩和が必要だという経済状況でもない。トランプ氏は日本企業が米国の雇用増加に貢献するよう繰り返し求めており、二月十日の安倍晋三首相との首脳会談を前に「為替問題は、交渉を有利に進めるための材料の一つ」(みずほ証券の上野泰也氏)との見方も広がっている。 (桐山純平)

 

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