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【経済】

「円安誘導」批判で金利上昇 「日銀VSトランプ」の様相

 3日の東京の国債市場は午前中、長期金利が前日の終値より0.045%高い0.15%まで一時急上昇し、約1年ぶりの高い水準になった。金利を低く抑え込む日本に対し、トランプ米大統領が「円安誘導」と批判していることが背景にある。午後になって日銀が金利の上昇を強くけん制したため低下。だが、市場は次第に「日銀 VS トランプ」の様相を呈し始めており、日銀の金融政策自体、窮地に陥る可能性もある。 (渥美龍太)

 「あくまで2%の物価目標を早期に達成するためだ」。日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は三日の国会で、金融緩和の目的を説明した。

 ただ、トランプ氏はそうは考えていないようだ。

 日銀は銀行から国債を買い入れることで市場にお金を流しており、国債を大量に買えば買うほど、市場にお金が出回り、銀行や企業は資金を調達しやすくなり、金利が下がる。一方で日本の金利が下がると投資家が米国の方が有利に運用できると判断しドルを買うため、円安に向かう。

 これに対してトランプ氏は「他国は資金供給で通貨安にしている。日本は円安誘導を繰り返している」と日本を攻撃。市場関係者の間では、「これで日銀がさらに金融緩和することが難しくなった」とみなす声が増えていた。

 そうしたところへ三日の国債市場では午前中、日銀が予告した国債の買い入れ額が、市場の予想より少なかった。このため、金融機関の間で「やはり金融緩和姿勢が弱まった」との見方が一気に高まり、今後資金調達しにくくなるとの見方から、長期金利が急上昇した。

 あわてた日銀は午後になり、ゼロ近辺の利回りで無制限に国債を買い入れる措置に踏み切り、七千二百億円超の国債を買い入れ、お金を大量に流した。これで長期金利は急低下、前日終値を下回る0・09%に達した。

 日銀が躍起になるのは、当面長期金利を0%程度に抑え、物価や景気を押し上げる目標を掲げているためだ。

 この日は「緊急措置」で急場をしのいだ日銀。トランプ氏に屈すれば物価目標達成は不可能になる。その一方で金利を強引に抑え込もうと大量に国債を買い続ければ、日銀が国債を買い占めてしまう状態になり、金融政策の限界が早まりかねない。

 ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「十日の日米首脳会談の交渉材料として再び円安批判をにおわせてくる可能性もあり、日銀は非常に動きづらくなる」とみている。

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