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【経済】

東芝の米原発買収に新たな疑惑 半導体事業は「丸ごと売却」へ

記者会見をする東芝の綱川智社長=14日午後、東京都港区で

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 東芝は十四日、米国の原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)を舞台に七千百二十億円の巨額の損失が生じる見通しを発表した上で、新たな不正疑惑が浮上したことを明らかにした。二〇一五年四月に発覚した東芝本体の不正会計問題からの再建を目指す道のりは、鳴り物入りで買収したWHによって再び危機に陥っている。 (伊藤弘喜)

 「WHを買収したことだといえないこともない」

 十四日、東芝本社で開かれた記者会見。詰めかけた報道陣から、原発で巨額損失を出して経営危機に陥った「東芝迷走」の原点を問われた綱川智社長は小さな声でこう答えた。

 東芝が〇六年に原発で攻勢をかけるために買収したWH。安全規制が年々強まるに伴って、コストが増加。コスト増をだれが負担するかをめぐり、建設工事を担当する会社とも係争になっていた。

 トラブルを一気に解決しようと、WHは一五年十二月にトラブルの相手を買収する一手に出た。その相手が米原発建設会社の「CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)」だった。東芝は当時、これで米国原発事業が加速、収益が上がると説明していた。ところが、それから約一年しかたっていないのに、六千億円を超える巨額損失を計上することになった。

 「原発建設会社の買収の際の東芝・WH側の査定そのものがおかしかったのではないか」という疑念は原発業界などにくすぶっていた。

 この日、東芝は「価格算定を巡りWH経営者が不適切な圧力を社員に掛けた」として、資産査定に関して不正があった疑いを明らかにした。損失隠しの意図がなかったのかや、だれがどう関わったのかなど、実態を徹底的に解明しなければ、投資家や金融機関の不信はぬぐえない。

 東芝にとっての喫緊の課題は三月末時点で負債が資産を上回る債務超過を回避できるかだ。債務超過に陥った場合、東芝は上場廃止にされたり、金融機関による融資も困難になるのが必至だからだ。

 財務危機をしのぐために東芝は今回、最後の「虎の子」だった半導体事業についても、それまでの二割売却から、「丸ごと売却」に向かおうとしている。

 だが、すでに医療機器や白物家電など収益が上がる事業や工場を次々と売却しており、半導体も売却すれば、収益の上がる事業はほとんどなくなる。残る満身創痍(そうい)の原発とインフラ事業だけでやっていけるのか。かつての名門総合電機メーカーはいま、「解体」の危機に直面している。

 

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