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【経済】

「将来物価、賃上げに反映を」 政府笛吹けど企業は踊らず

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 自動車に続き電機産業が十六日、春闘要求を提出し、交渉が本格化する。政府と日銀は物価が上がるとの「予想」にもとづき、交渉するよう労使に求めている。デフレが続き、前年の物価を参考にする従来方式では賃金が上がらないため、ひねり出した窮余の策。ただ、労使とも不確かな見通しを使うことに戸惑いがあり、「笛吹けども踊らず」の様相だ。 (渥美龍太)

 「原油が上昇しており、期待物価上昇率も勘案した賃上げ議論をお願いしたい」。安倍晋三首相は昨年十一月の働き方改革実現会議で、経団連に呼び掛けた。将来の物価が上がる分をあらかじめ賃上げに反映させて、との要請だ。

 春闘の慣行では前年の物価実績を基準にしてきた。高度成長期は毎年物価が上がり、生活水準を保つため、賃上げが行われてきた。だが、デフレに陥ってからは逆に「物価が上がらないから賃金も上がらない」という足かせになった。

 政府が「将来の物価」を持ち出すのは、これを打開する狙い。「物価が上がるので、賃金も上げておくべきだ」との理屈を展開、昨年以上の基本給引き上げ(ベア)を実現させ、デフレ脱却の起爆剤とする戦略だ。日銀の予想では物価は一七年度はプラス1・5%、一八年度は同1・7%に上昇する。黒田東彦(はるひこ)日銀総裁も一月末の会見で「(交渉は)そちらの方向に可能性はある」と、首相に同調した。

 しかし、民間側は乗ってきていない。

 経団連の報告書では「(物価は)実績値がベース」とにべもない。政府の主張が「援軍」になるはずの連合の幹部も「日銀は物価が上がると言い続けたが結局上がらなかった」と慎重だ。

 実際、日銀は一三年四月に大幅金融緩和を始めた際「二年程度で物価上昇率2%達成」を掲げたが、目標は五度も先送り。今年に入っても物価は弱い。保護主義に傾くトランプ米大統領の誕生も、企業業績に影を落とす。

 経済の将来の見通し自体が揺らいでいる時だけに「将来物価」を判断材料にするよう求める政府・日銀の主張はいまの民間企業の耳には響きにくいようだ。

 

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