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【経済】

バイオ後続薬の普及進まず 医療費財政を圧迫

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 高額なバイオ医薬品について、特許が切れた後の安価なバイオ後続品の普及が進んでいない。本紙の推計ではバイオ後続品のシェアはわずか1%ほど。このまま後続品の普及が進まなければ、保険料と税金、借金などで支えている医療費の圧迫につながりかねない。 (桐山純平)

 一般的に二十〜二十五年で先行品の特許が切れると、バイオ後続品の製造が可能。臨床試験を経た後続品は先行品の七割で薬価がつけられる。一般薬の後発品であるジェネリックと似た制度だ。国内では一昨年十一月にリウマチ向けの後続品が発売されたが、シェアは1%ほどにとどまる。

 バイオ後続品の普及が進まない理由について、リウマチ治療の最前線に立つ東京女子医科大の山中寿教授は「費用の多くが保険や税金で賄われ、患者が後続品を使うメリットが薄れるのが一因」と説明する。

 先行品の薬代(年約百九十九万円)に対して、後続品(年約百三十五万円)を使うと全体では年約六十四万円の削減となる。そのうち保険や税金以外の患者本人の自己負担分だけでみると、年約十四万円の節約にとどまる。このため節約額には目をつぶって、実績のある先行薬を選んでしまう患者が多いとみられる。臨床試験を経ているにもかかわらず、先行品に比べて後続品は安全性や効果で劣るとの誤解は、薬を薦める医師の側にもあるという。

 バイオ医薬品の開発は今後も増え、それに伴い特許切れの後続品も急増する見込み。医療政策が専門の国際医療福祉大学の武藤正樹教授の試算では、国が目標とする後発医薬品(ジェネリック)の使用率80%と同じくらいバイオ後続品も普及すると、二〇二五年には年三千億円の医療費削減が可能だという。

 だが、バイオ後続品の普及が進まないと医療費の削減効果がない。武藤氏は「ドイツで行われているように、医療機関に後発品の安全性を情報提供し、使用した場合には診療報酬を加算するなど、医者が積極的に使うことにつながる政策が必要だ」と指摘する。

<バイオ医薬品> 遺伝子組み換えや細胞培養を活用して製造されたタンパク質が基で、複雑な構造を持った薬。一方、頭痛薬や風邪薬など従来の医薬品は化学合成で製造される。これまで以上に高い治療効果が期待され、高額で有名となったがん治療薬オプジーボもバイオ医薬品の一種。技術の進歩によって2000年からバイオ医薬品の新薬開発が進み、14年の薬品世界売上高の10品目のうち、7品目はバイオ医薬品。特許切れで同等の効果が期待できる製品はバイオ後続品と呼ばれ、先行品の7割の値段となる。

 

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