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【経済】

ヤマト、27年ぶり値上げへ 宅配の対応能力限界

 宅配便最大手のヤマト運輸が九月末までに、個人が送る荷物を含めて基本運賃を全面的に引き上げる方向で検討に入ったことが七日、分かった。全面値上げは消費税増税時を除くと二十七年ぶり。値上げ幅は今後詰める。宅配業界の過当競争は限界を迎え、そのつけが消費者の負担増につながる。

 インターネット通信販売拡大による荷物の増加を背景にドライバーらの人手不足が深刻で、外部業者に配達を委託する費用も膨らんでいる。サービス維持に値上げが必要と判断した。親会社のヤマトホールディングスは、巨額の未払い残業代の発覚を踏まえ働き方改革を進めており、成長を続けてきたグループの経営戦略が大きな転換点を迎えている。

◆「顧客至上主義」に変化も

 ヤマト運輸が運賃値上げに踏み切る決断をした。全国に張り巡らしたネットワークをフル稼働させ、きめ細かな定時配送で、アマゾンジャパンなど急速に普及したネット通販を支えてきたが、高まる一方の消費者ニーズに対応能力が限界に達した。通販業界のサービスの在り方にも影響を与えそうだ。

◆宅配業界

 宅配業界は慢性的なドライバー不足にネット通販の荷物の増加が追い打ちを掛け、現場の繁忙は極限状態。昨年十二月には佐川急便の配達員がストレスから荷物を蹴ったり、たたきつけたりする動画がネットに流れ、騒ぎになった。アマゾンの配送を支えるヤマトの労働組合は、今春闘で荷受量の抑制を要求しており、会社も対応する方向だ。

◆通販業界

 「配送スピードは最も重要な戦略の一つだ」。アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は二月の講演で強調した。楽天やヤフーなどとの競争が過熱する中、アマゾンは配送サービスを最大の売りにしてきた。年会費三千九百円の「プライム会員」になれば当日と翌日の配送は無料。追加料金を払えば、早朝六時から深夜一時まで一時間で商品が届くサービスもある。

◆「持続可能」

 しかし宅配危機を受け、配送スピードを競ってきた通販業界でも「持続可能な仕組みを考える時期だ」と問題意識は高まっている。

 宅配便市場はヤマトがシェア47%で首位。佐川急便が32%、日本郵便が14%と続き、上位三社で九割を占める。

 佐川はアマゾンと取引をやめたとされる二〇一三年度、宅配個数を前年度から10%減らし、ヤマトと日本郵便がともに12%増やした。

 市場では「ヤマトの値上げを嫌い通販業者などが他社に乗り換え、シェアが動く」(証券アナリスト)との観測もあるが、佐川、日本郵便とも現状では「現場がさらに混乱する」と慎重だ。

 

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