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【経済】

東電「統合推進で増益」 福島処理費倍増で新計画

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 実質的に国有化されている東京電力ホールディングスは二十二日、新しい経営計画「新々総合特別事業計画」の骨子を発表した。政府が昨年末にまとめた提言を踏まえ、中部電力との火力発電部門の「完全統合は必要不可欠」として実現を目指すほか、送配電や原子力事業でも他社と統合・再編を模索して利益を増やし、福島第一原発の事故処理費用に充てる。

 発表したのは骨子だけで、柏崎刈羽原発(新潟県)を再稼働する時期や収益の見通しを盛り込んだ計画全体は、四月にも経済産業相に申請して認定を求める。

 東電と中部電は液化天然ガス(LNG)を調達する合弁会社「JERA(ジェラ)」を二〇一五年に設立しており、両社の火力発電所も移管して運営事業を統合する。両社は近く統合に合意する見通し。資材購入などの費用を下げて利益を増やす狙いがある。

 原子力事業は、七基ある柏崎刈羽原発が稼働すれば一基につき年五百億円の利益が上向くとして、他社に助言などの協力を求め、早期再稼働を目指す。人材育成など各社共通の課題を話し合う場を設け、事業の再編・統合も視野に入れる。送配電事業も同じように他社との統合を探る。

 経済産業省の「東京電力改革・1F(福島第一原発)問題委員会」は昨年末、福島第一原発の事故処理費用が従来見通しから倍増して二一・五兆円に膨らむとして、東電に費用を捻出させるための経営改革を求める提言をまとめていた。

◆電力他社は慎重姿勢

 国有化されている東京電力は、二十二日に発表した新しい経営計画「新々総合特別事業計画(総特)」の骨子で、原子力や送配電など各事業ごとに同業他社との統合や再編を積極的に進める方針を示した。しかし電力業界には、政府の影響力が強く、大災害を起こした福島第一原発も抱えた東電と組むことへの警戒感が根強い。東電の青写真通りに利益を増やせるかは未知数だ。

 統合・再編は中部電力と折半出資して設立した「JERA(ジェラ)」をモデルケースにするが、東電と中部電の利害は相反する。東電は福島第一原発の廃炉費用を捻出するため、ジェラの利益はできるだけ配当として渡してほしい。これに対し中部電はジェラの財務基盤を強くするため、配当を抑えるよう要求。東電の背後にいる政府が経営に介入してくるのではないかという警戒もあり、東電が求める火力発電事業の統合に慎重な意見が根強かった。

 このため新々総特の骨子は、国の関与のあり方や利益と配当の関係について「ルールを整備する」と明記し、中部電は火力発電事業での統合を受け入れる見通しとなった。

 しかし原子力事業は、東電の福島第二原発(福島県)も柏崎刈羽原発(新潟県)も稼働のめどが立たない。「お荷物」を背負うだけになる同業他社は「(統合は)まったく考えていない」(九州電力の瓜生(うりう)道明社長)などと慎重な構えを崩さない。送配電事業も「メリットが分からないし、国の関与についてどのようなルールを定めるのかを見ないと検討もできない」(大手電力関係者)と異論があがっている。 (吉田通夫)

 

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