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【経済】

三越伊勢丹・大西社長退任 多角化路線に現場反発

今月末で退任する大西洋社長(左)。次期社長の杉江俊彦専務執行役員は伊勢丹新宿本店(中央)など百貨店事業の立て直しを目指す(コラージュ)

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 三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋社長(61)が今月末で退任し、杉江俊彦取締役専務執行役員(56)が四月一日付で社長に就任する。大西氏は事業多角化などの構造改革を進めようとしたが成果が出ず、任期途中での退任に追い込まれた。その大西氏の経営姿勢に対し、新社長の杉江氏は就任の記者会見で「対話が不足していた」と指摘した。老舗百貨店で何が起きていたのか。 (中沢幸彦)

■積極展開奏功せず

 大西氏は伊勢丹出身。旗艦店の伊勢丹新宿本店に高級紳士服などを扱う「メンズ館」を開店させた実績を買われ、二〇一二年に三越伊勢丹HDの社長に就任した。その後、メンズ館は名鉄百貨店(名古屋市)に開設されるなど、一時は業界内の成功の「ビジネスモデル」にもなった。

 だがインターネット通信販売が伸びる中で百貨店離れが進行。中国からの旅行客を中心とした「爆買い」も失速し、大西氏は消費者との接点を広げようと事業の多角化に走った。

 小型店を積極出店。さらに「TSUTAYA(ツタヤ)」を経営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、婚礼事業のプラン・ドゥ・シー(東京)などとの提携も推進した。だが、本業のもうけを示す一七年三月期の連結営業利益は、前期比27%減の二百四十億円に落ち込む見通しとなった。

■リストラ策に不満

 急速に事業分野を広げた大西氏。しかし、社内には「少ない人数で運営している現場への負担が大きすぎる」といった不満の声が渦巻いていた。

 こうした中で大西氏は昨年十一月「一八年度に五百億円」と設定した営業利益の目標達成を先送り。さらに記者会見で伊勢丹の松戸店(千葉県松戸市)と府中店(東京都府中市)、松山三越(松山市)、広島三越(広島市)の四店の売り場縮小などに言及した。だが、これは社内で機関決定されたリストラ策でなく、労働組合の反発を招いた。

 三月十三日の社長就任の記者会見。杉江氏は四店について「仮に閉めるとしても(一七年三月期決算を発表する)五月は発表できない」と強調。さらに大西氏と同じ伊勢丹出身でありながら「大西社長はアグレッシブかつパワフルで対外的には情報を積極的に発信してきたが、社内での対話は不足していた」と問題点を指摘した。

 ひと言でいえば、大西体制は「独善的な上意下達(じょういかたつ)」に走る悪い意味での「体育会体質」を持っていたようだ。だが、これが三越出身の社員らの反発につながった。

 三越出身で大西氏に辞任を迫ったとされる石塚邦雄会長(67)も六月の株主総会で退任する。杉江氏は「『伊勢丹派対三越派』といった内部抗争はない」と言うが、今後も難しい経営のかじ取りを迫られそうだ。

 

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