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【経済】

日銀短観改善も先行き不安 金融緩和4年、好循環には遠く

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 日銀が三日発表した三月の企業短期経済観測調査(短観)によると、経営者は今の景気に改善の傾向を感じつつ、先行きには慎重な見方を示した。大規模金融緩和を始めてから四日で四年。これまでは円安で企業収益が拡大する一方、将来不安から賃上げや投資が伸び悩み、政府日銀が目指す経済の好循環は生まれなかった。今や人手不足も深刻な水準に入り、景気は今後正念場を迎えそうだ。 (渥美龍太)

 「仕事が増えないのに、設備投資や賃上げができる訳がない」。自動車や電機メーカーに部品を納める林精密工業(江戸川区)の林義雄社長(77)にとって、今の偽らざる実感だ。円安にもかかわらず、納入価格の引き上げや取引量拡大などの恩恵は全く受けておらず、「先行き良くなる見込みがない。周りのものづくりの仲間も皆同じ思いだ」と嘆く。

 短観によると、企業が今の景気をどう感じているかを示す「業況判断」は、大企業が製造業では二・四半期連続で改善し、非製造業は六・四半期ぶりに上向いた。中小企業も三・四半期連続で改善した。ただ先行きには慎重さが残り、特に中小は今よりも五ポイントの悪化だ。

 もともとアベノミクスは二〇一三年に始めた大規模緩和が柱で、円安で企業の収益を表面上は押し上げた。ただ、人口減少による国内市場の縮小懸念など将来不安から賃上げや設備投資の動きが鈍く、中小や個人に恩恵が広がらない。円安の効果は一時的なものだった。

 今回も円安で企業収益の拡大を見込めそうだが、問題はその後。三月に集中回答があった春闘では大企業の賃上げが伸び悩んだ。日銀短観では全産業で人手不足の度合いは、バブル経済の余韻があった一九九二年以来の高水準。特に中小企業では人手不足が深刻だが、円安の追い風がいつやむかわからない中では、賃上げがどこまで広がるか見通せない。

 ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「非正規労働者の一部で賃上げが進んでいるが、物足りない。そのうえ建設などの非製造業では、人手が足りずに業務に支障が出ているようだ」と説明。人手不足が経済の足かせになりかねない状況だ。

 海外経済をめぐっても、かつては中国経済の減速などが円高を招き、アベノミクスを失速させた。今は米国で日本を「通貨安誘導」と批判するトランプ政権が誕生、今月に始まる日米の「経済対話」では、為替政策などで厳しい要求を突きつけられる可能性もある。

 みずほ証券の上野泰也氏は「当面景気の回復基調は続きそうだが、日本経済には景気を強く引っ張る推進力がない。円高などのショックに見舞われれば、たちまち腰折れの危機に直面する」と指摘する。

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