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【経済】

マレーシア高速鉄道建設計画 日中韓が受注めぐり火花

新幹線をPRしようと三越伊勢丹ホールディングスなどが展示したジオラマ=クアラルンプールで

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 マレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄道の建設計画をめぐり、日本と中国、韓国による受注競争が熱を帯びてきた。東南アジアの旺盛なインフラ需要を取り込む弾みにしようと、年内に予定される入札に向けて駆け引きが始まっている。(クアラルンプールで、大橋洋一郎、写真も)

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 クアラルンプールのデパート「イセタン・ザ・ジャパン・ストア」に二月、催事場に新幹線の模型が走るジオラマが登場。レール上を動く姿が買い物客の注目を集めた。

 展示はタカラトミーやJR東日本の協力で実現した。三越伊勢丹ホールディングスの担当者は「鉄道自体があまり身近でないマレーシアで新幹線とは何かを楽しみながら知ってもらいたい」と語った。

 新幹線の受注を目指す日本の企業連合はJR東と住友商事、三菱商事、日立製作所、三菱重工業などが中心。事故による死亡者ゼロという安全性や高い技術力を訴える。

 ライバルもクアラルンプール市民に熱視線を送る。中国の国営鉄道会社「中国鉄路」は一月から繁華街の駅前で運転シミュレーターや乗客用の座席を展示。韓国はショッピングモール内に常設展示場があり、車窓の3D映像に座席の振動などを加えた「4Dシミュレーター」が人気だ。

 中韓両国のブースを見学した会社経営の男性マフーさん(36)は「展示では韓国が良さそうだが最後は価格で決まるんじゃないかな」と語った。

 ■思惑

 アジア開発銀行は二月末の報告でアジア太平洋地域のインフラ需要が二〇三〇年までに最大二六・二兆ドル(約三千兆円)に上ると予測した。東南アジアでは特に道路や鉄道など輸送インフラの整備が課題で、マレーシア−シンガポール間の高速鉄道もその一つ。事業費は五百億リンギット(約一兆三千億円)以上と言われる。

 中国はシルクロード経済圏(一帯一路)構想の一環で雲南省昆明からラオス、タイを経てマレーシア、シンガポールに至る高速鉄道網の整備を掲げ、積極的に動いている。マレーシア紙によると中国企業が多額の負債を抱えたマレーシア政府系投資会社を事実上救済し恩を売った。外交筋は「中国にとって昆明から南へ延びる鉄道は経済的、軍事的に重要。必ず狙ってくる」と解説する。南シナ海で問題が起きた際、代替輸送ルートになるからだという。

 インフラ輸出を成長戦略の柱にする日本も負けられない。インドネシアのジャカルタ−バンドン間の高速鉄道計画では一五年秋、先行しながら中国に受注を許した。しかし中国が資金を出し渋るなどして工事が進まず、中国は評判を落としている。日本がマレーシア−シンガポール間の受注で巻き返せば、存在感がより高まる。今後、ドイツやフランスなど欧州勢が加わる可能性もあり、入札条件が明らかになった段階で受注競争は激しさを増しそうだ。

 <マレーシア−シンガポール高速鉄道> クアラルンプール−シンガポール間約350キロを90分で結ぶ鉄道の計画。2026年末までの開業を目指す。車両や線路といったインフラの供給、実際の運行業務などに分け、複数の入札が行われる見通し。

 

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