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【経済】

英シティーに地盤沈下の危機 EU離脱で金融地図変わる?

イングランド銀行(左)の背後に高層ビルがそびえるロンドンの金融街シティー=ロンドンで

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 欧州連合(EU)との離脱交渉入りを三月に通告した英国の世界的な金融街「シティー」の地位を狙い、フランクフルト(ドイツ)、パリといった欧州の中核都市が名乗りを上げている。ただ、欧州内での主導権争いは結果としてロンドンの地位低下と欧州全体の地盤沈下につながり「得をするのは結局、米ニューヨークでは」との警戒感が出始めている。 (ロンドン・阿部伸哉、写真も)

 「集積は集積を呼ぶが、離散は離散を招く」

 ロンドン・シティーに拠点を置くみずほ銀行欧州資金部の本多秀俊・シニア為替ストラテジストは指摘した。

 通貨ではユーロ圏に入らずポンドを使う英国。それでもユーロ建て金融派生商品の約八割がロンドンで決済され、圧倒的な存在感を誇る。だが、今後の交渉でEUが、監督権限が及ばなくなるロンドンでの決済を認めるかは微妙だ。EU全域で自由に営業できる「金融パスポート」制度は、ロンドンで取得したものが使えなくなる恐れもある。

 こうした懸念に乗じようと、欧州中央銀行(ECB)があるフランクフルトや、金融業強化に熱心なパリなどが金融機関の誘致を積極的に展開する。

 一方、「ロンドンの地位は不動」との見方があるのは事実だ。英コンサルタント会社「Z/Yen」がまとめた「国際金融センター指数」では、ロンドンはニューヨークを抑え首位。フランクフルトは二十三位、パリは二十九位にとどまり、ロンドンの地位を脅かすには至っていない。

 その理由を米コンサルタント会社「ラター・アソシエーツ」のリチャード・グローブ最高経営責任者(CEO)は「フランクフルトやパリは集積度が足りず、英語も通じにくく、労働規制も厳しい」と解説する。

 だが、免許の関係で一部の金融機関の業務は欧州の他の国に移る。グローブ氏は「これまで集積したロンドンの金融機能が分散することで、欧州全体の金融市場としての存在感が地盤沈下する」とみる。

 相対的に地位が上がるのはニューヨーク。「米国ではトランプ政権が金融規制緩和を掲げている。米金融機関はロンドンから機能を動かすなら欧州内ではなく、むしろ本国に戻すだろう」と予想している。

 

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