東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

日銀、緩和で巨額赤字も 黒田総裁 残り1年 政策長引き、リスク

写真

 大規模金融緩和を導入した日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁の任期が、八日で残り一年となった。目標の物価上昇率2%を当初予定の二倍となる四年間かけても達成できず、政策が長引いたことで将来日銀が大幅な赤字に陥る可能性が浮上。専門家からは赤字が二十年間続き、一年の最大赤字額が約十兆円に上るとの試算も出されており、政策のリスクに対する説明責任が問われている。 (渥美龍太)

 二〇一三年に導入した金融緩和では、日銀が民間銀行から国債を大量に買って民間銀行にお金を渡してきた。この間に日銀が持つ国債は四百兆円を超え、銀行側は受け取った巨額のお金を「当座預金」と呼ばれる日銀の口座に預けている。日銀は預金の利子として年0・1%を支払っている。

 問題が起きるのは、目標の物価2%を達成したとき。日銀はそれ以上物価が上がり過ぎないように、景気の過熱を抑える効果がある「金利の引き上げ」を行う必要に迫られる。その際には、「当座預金の利率を上げて世の中の金利を上げる」という操作を行うため、日銀が銀行に支払う利子が増えることになる。

 積み上がった当座預金は三百兆円を超えており、日銀がわずかに利率を上げただけで銀行への支払いは急増する。一方、日銀が保有する国債などから受け取る利子額は、買ったときに決まっていて変わらないため、支出が収入を大幅に上回って赤字に陥ってしまう。

 中央大の藤木裕教授と早稲田大の戸村肇准教授の試算では、一九年度末の物価上昇率が2%と想定すると、二一年度は銀行に支払う利子が十五兆円を超える。しかし、日銀に入る国債などの利子は六兆円で、この年は九兆七千億円の赤字に陥り、その後も赤字が続く。「日銀は2%を達成したときこそ大変な状況に陥る」(国内シンクタンク)との懸念は少なくない。

 金利引き上げは米国が先行しているが、国内総生産(GDP)の規模でみると、日本は既に米国の四倍もの金融緩和をしており、リスクは大きく上回る。だが、当事者の黒田総裁は「緩和の出口の議論は時期尚早」と繰り返すばかりだ。

 日銀の赤字を税金で埋めねばならない事態に陥れば、国民負担が生じる。日本総研の河村小百合氏は「米国は早いうちに今の緩和に伴う収支予測を公表し、英国はコストを政府が負担すると明言していた。日銀が説明せず何の問題もないかのように国債を大量に買い続けているのは、国民への義務を果たしていない」と警鐘を鳴らしている。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】

PR情報



ピックアップ
Recommended by