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【経済】

日銀委員の全員が安倍政権任命 チェック機能の低下懸念

 政府は十八日、日銀政策委員会の審議委員として、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡剛士上席主任研究員(44)と、三菱東京UFJ銀行の鈴木人司取締役(63)を充てる人事案を衆参両院に提示した。任期は五年。これで第二次安倍政権発足前に就任した委員が全員退任する。現政権が任命した委員は主な政策決定すべてに賛成しており、政策委のチェック機能の低下が懸念されている。 (渥美龍太)

 両氏は七月二十三日に任期満了を迎える木内登英氏と佐藤健裕氏の後任となる。

 政策委は金融政策の最高意思決定機関で、執行部の正副総裁三人に加え、内閣が国会の同意を得て任命する審議委員六人の計九人で構成する。二〇一三年四月に大規模金融緩和を始めた後も、マイナス金利の導入に複数の審議委員が反対するなど、政策委内で賛否が拮抗(きっこう)することがあった。

 第二次安倍政権発足前に就任した木内氏と佐藤氏は、執行部案に反対したり対案を示したりして、政策委内の「野党」の役割を担ってきた。一方で現政権が任命した委員は主な政策すべてに賛成しており、最近では反対するのはこの二人ばかりだった。

 新任予定の片岡氏は積極的な金融緩和で世の中に流すお金の「量」を増やし、物価や景気の上昇を目指す「リフレ派」の代表的存在だ。大規模緩和の導入を主導した岩田規久男副総裁らの考え方に近いとみられる。メガバンク出身の鈴木氏も「執行部の方針に強く反対するとは考えにくい」(エコノミスト)との意見が市場関係者から出ている。

 ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「緩和路線の反対派がいなくなり、議論に厚みがなくなる」と警鐘を鳴らす。法政大の真壁昭夫教授(応用経済)は「結果が出ていないのに、相変わらず政府の考え方に賛同する人しか選ばれない。政策の状況をチェックしつつ、時には方向転換を促す審議委員本来の役割が果たせない状況だ」と指摘している。

<片岡 剛士氏(かたおか・ごうし)>慶大大学院修了。96年三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)。専門はマクロ経済学、経済政策論。愛知県出身。

<鈴木 人司氏(すずき・ひとし)>慶大卒。77年三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)。副頭取を経て16年6月から取締役。東京都出身。

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