東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

日本郵政、数千億円損失か 豪買収企業「のれん代」

 日本郵政が、傘下のオーストラリアの物流大手「トール・ホールディングス」の不振に伴い、二〇一七年三月期決算で巨額損失の計上を検討していることが二十日、分かった。損失額は数千億円に上る可能性がある。資源価格の下落によって取扱量が減るなどし、トール社の収益が悪化したのが原因。損失を計上すれば、政府が準備中の日本郵政株の追加売却に影響が出る。

 日本企業による海外企業買収を巡っては、経営再建中の東芝が米原発会社で七千億円を超す損失の計上を迫られるなど巨額損失の発生が相次いでいる。性急な事業拡大や円高に乗じた安易な買収戦略が裏目に出て経営の打撃となっている。

 日本郵政が検討しているのは、トール社の買収時に発生した「のれん代」の評価引き下げだ。買収価格と、買収先の会計上の純資産の差額で、将来的な収益力やブランド力を表すとされる。通常は段階的に償却するが、価値が失われた場合には見直す必要がある。一六年末は三千八百六十億円が残っている。このうち数千億円を損失処理する可能性がある。

 日本郵政は二十日、トール社の業績が計画に達していないとして、損失処理の要否を含め検討中だと発表した。日本郵政は一七年三月期の連結純利益を前期比24・9%減の三千二百億円と見込んでいるが、損失が計上されれば大幅な縮小が避けられない。社内には損失計上は不要だとの意見もあり、関係者の間で調整を進めている。

 トール社は日本郵政子会社の日本郵便が約六千二百億円で買収したが、目立った相乗効果が出ていない。トール社は今年に入り、首脳陣を交代するなど経営の立て直しを急いでいる。総務省など関係省庁もトール社の行方を注視している。

 政府は日本郵政の発行済み株式全体の三分の一超を手元に残した上で、それ以外を二二年度までに数回に分けて売却する計画。七月以降の追加売却を目指しており、三月に主幹事証券会社を選定した。郵政株の売却益は東日本大震災の復興財源に充てる。

<トール・ホールディングス> 日本郵政傘下の日本郵便が2015年5月に約6200億円で買収したオーストラリアの物流大手。アジア太平洋を中心に世界各地に拠点を展開。15年11月の株式上場を前に当時日本郵政社長だった西室泰三氏が国際物流を強化するため買収を主導したが、その後資源安の影響で業績が悪化。今年1月にはトール社の会長、社長が交代。3月末には部長など1700の役職を減らすリストラ策を打ち出した。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】

PR情報



ピックアップ
Recommended by