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【経済】

<原発からの請求書 読者発編>(中) 再エネ賦課金いずれ減る

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 連載企画「原発からの請求書」では検針票に隠れている原発費用を試算しました。読者からは検針票に載っている「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」の方が高いのではないか、との指摘をいただきました。

 二〇一六年度の再エネ賦課金は「一キロワット時当たり二・二五円」で、月二百六十キロワット時使う平均的なモデル世帯で年約七千円。一方、本紙が報じた福島第一原発事故の賠償金など原発の後始末の負担合計は年約二千九百円。一見、賦課金が重く見えますが、原発の試算では建設・維持費が算入されていないので、やはり負担の絶対額では原発の方が重くなります。

 再エネ賦課金は原発事故を受け、再生可能エネルギーを増やそうと一二年に始まりました。日本は化石燃料に代わる電源として原発を国策で推進してきたため再生エネは普及していませんでした。ある会社が太陽光発電所をつくっても建設コストが高く、大手電力は「高い電力はいらない」と買おうとしませんでした。

 このため、大手が高く買い取り、そのまま消費者に転嫁するのを認める仕組みを作りました。転嫁代金が再エネ賦課金です。

 大手による買い取り価格は、発電会社が損しない価格に設定されていますが、発電費が安くなれば下げる仕組みです。例えば一二年度一キロワット時四十円だった太陽光発電の買い取り価格は装置の大量生産で導入費用が下がり、最近は同二十四円まで下がりました。とはいえ再生エネ発電所が増えて買い取り量が膨らむと、賦課金も増えます。モデル世帯の場合、政府は制度発足当初七百円弱だった賦課金は最高九千七百円に増えると試算します。

 ただ、再生エネは発電所ごとに十〜二十年の買い取り期間が終わっていくので、いずれ賦課金も減ります。支援がなくても、再生エネがやっていけるようにするのが制度の狙いです。

 一方、本紙が示してきた原発費用は、原発の後始末費など発電の周辺費用だけをまとめたものです。

 今回、新たに原発の建設・維持費の負担を東電の財務関係資料から試算したところ、家庭の料金には一キロワット時当たり二・二三円が含まれていました。モデル世帯では賦課金とほぼ同額で六千九百円。発電が止まっていてもこれだけ掛かっているのが分かりました。周辺費用も合わせた原発の負担総額は九千八百円と再エネ賦課金を三千円近く上回ります。さらに核燃サイクル事業などで膨らみ続ける可能性も高いのです。

 洋上風力発電など世界では原発の発電コストを下回る発電も現れています。検針票に再エネ賦課金だけを明記するやり方は誤解を招くとの指摘も多く、原発の本当の費用を公開し、国民に判断を求めることが急務です。

  (吉田通夫)

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