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【経済】

日銀の「好循環」歯車回らず 雇用は堅調も消費は低調

 二十八日に政府が発表した三月の働く環境や家計に関する経済統計は、堅調な雇用状況を示しながらも消費の低迷が続き、物価の伸び悩みが根強い日本経済の実態を数字で表した。日本経済がはまり込んでいるデフレからの脱却に向けて、景気が「拡大に転じつつある」とした日銀の分析とは大きなズレがある。

 求職者一人当たりの求人数を示す有効求人倍率(季節調整値)は一・四五倍だった。人手不足感の強まりを受けて前月から〇・〇二ポイント上昇し、バブル経済末期の一九九〇年十一月以来、二十六年四カ月ぶりの高水準となった。完全失業率は前月と同じ2・8%で、好調な雇用環境が続いている。

 こうした状況を背景に日銀は、約九年ぶりに景気に対する判断を「拡大」と表現した。黒田東彦(はるひこ)総裁は雇用の環境を中心に「需給ギャップが改善し、賃金の上昇を伴いながら物価上昇率が緩やかに高まる好循環が作用していく」との見通しを示した。

 しかし、三月の一世帯当たりの消費支出は、物価変動を除いた実質で前年同月比1・3%減と十三カ月連続のマイナスになっている。個人消費に回復の兆しは見えない。エネルギーと生鮮食品を除いた同月の全国消費者物価指数も0・1%下落し、一三年七月以来、三年八カ月ぶりに下落へ転じた。上昇傾向にあるエネルギー価格を加味しても、日銀が掲げる2%の物価上昇目標は遠い状況になっている。

 日銀が描く好循環の歯車が回らないのは、主に賃金の伸び悩みが原因だ。ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「人員調整しやすいパートの時給は上昇しているが、正社員の賃金は企業の先行き不安から伸びていない。今後も、賃金や物価の伸びは力強さを欠くだろう」と話している。

 

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