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【経済】

「日本初」「世界初」過去ずらり 東芝未来館 切ない人気

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 経営再建中の東芝の「輝かしい過去」を紹介する東芝未来科学館(川崎市幸区)が人気だ。「日本初」「世界初」の東芝製品を年代順に並べたコーナーは近年になるほど展示物が減り、昨今の「苦境」も見て取れる。来館者は何を思うのか。(伊藤弘喜)

 「こちらが日本初のカラーテレビです。当初は一部の番組しかカラー放送していませんでした」。案内係が解説する。薄型テレビに慣れた子どもたちには逆にブラウン管の分厚さが新鮮なようだ。「すごい」「大きい」と声が上がった。

 東芝が他社に先駆けて世に出した約七十点を集めた展示コーナー「1号機ものがたり」。カラーテレビに加えて電気冷蔵庫などの製品がズラリと並ぶ。

 孫と来館した横浜市港南区の勝見将紘(かつみまさひろ)さん(72)は「小学生のころ初めて届いた白黒テレビが東芝製。そのテレビで『名犬ラッシー』や『月光仮面』を見た」と懐かしむ。経営再建に向けて東芝は半導体メモリー事業の売却を決めたが「ここもなくならないか心配」とつぶやいた。

 前身の東芝科学館(一九六一年開館)を含む来館者は昨年十月に累計一千万人を突破。特に東芝の不正会計問題が二〇一五年に発覚した後は一時期、中高年客が増えたという。担当者は「ニュースで取り上げられることが増えたからかも」と推測。「閉館しないか」と心配する声も届くが「その予定はない」と言う。

 八九年に発売された世界初のノート型パソコン「ダイナブック」の前で足を止めていたのは、豪州から訪れた資源採掘会社の元社員フリート・エドワーズさん(63)。「豪州でも家電は中国製が強い。ただ採掘に使う工業機械は東芝製だよ」。実際、東芝は家電から手を引き、鉄道などインフラ部門に事業の重点を移した。横浜市鶴見区の主婦若林由紀さん(27)は「目に触れる機会は少ないけど、日常を支える技術なんですね」と感心していた。

 一方、巨額損失を生んだ原発関連の展示は製品の仕組みなどを紹介するパネル数点だけ。横浜市戸塚区の会社員近藤吉峰(よしたか)さん(25)は「福島の事故以来、世界的に原発建設が難しくなったのになぜやめる決断ができなかったのか。東芝にはいい技術がある。経営陣がそれを生かし切れていないのでは」と残念がった。

◆理科学ぼう! あすまで

 <東芝未来科学館> 自社の技術を公開する企業科学館の草分け的存在。「東芝科学館」として開館し、2014年にJR川崎駅前に移転した。延べ床面積2850平方メートル。開館午前10時。閉館は平日が午後5時半で土日祝日は午後6時。月曜は休館(祝日は開館)。入館無料。実験やスポーツを通し理科を学ぶことができる特別企画を7日まで開催している。

 

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