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【経済】

年金運用先を選別できず GPIF、米・クラスター弾製造企業の株保有

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 国民のお金を預かって年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が、非人道兵器として知られる「クラスター弾」製造企業の株式を保有していることが明らかになった。欧州ではこうした企業を投資の対象から外す年金基金が複数あることから、識者からは「GPIFが特定の企業に投資できなくする仕組みが必要」との声が出ている。 (渥美龍太)

 クラスター弾は空中で容器が開き、無数の子爆弾を広い範囲でまき散らす。不発弾も含め民間人への被害が大きいことから、保有や製造、使用を禁止したオスロ条約が二〇一〇年に発効し、日本も加盟している。

 GPIFが株式を買っていたのは、製造企業の米テキストロン社だ。昨年三月の段階で約百九十二万株(約八十億円)を保有していた。質問主意書で現状を明らかにした民進党の長妻昭衆院議員は「国民の年金で買うのはおかしい」と主張する。

 GPIFの株式の運用は、委託先の運用会社が代表的な株式指数に基づいて、ほぼ自動で複数の株を買う仕組み。テキストロンも運用会社が採用している指数を構成する銘柄だった。特定企業への投資をやめることについて、GPIFを所管する厚生労働省は「年金を増やすという原則に抵触しかねない。担当者の好みで運用ができないように、GPIFが直接投資先を選ぶことも禁じられている」と説明する。

 しかし、社会や環境に配慮した「責任投資」を専門とする高崎経済大の水口剛教授によると、海外ではノルウェー、スウェーデン、オランダ、カナダなどの年金基金が、クラスター弾関連企業を投資の対象から外している。議会が法律で明確に投資を禁止したり、独立の第三者委員会が関与したりして実現した。

 水口教授は「ルールを定めて外部の委員会を設けるなどすれば倫理に反した投資を客観的に選別することはできる」と提言している。

 

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