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【経済】

日本郵政、民営化後初の赤字289億円 海外子会社で特損

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 日本郵政は十五日、二〇一七年三月期連結決算を発表した。一五年五月に買収した海外物流子会社の業績悪化に伴い四千三億円の特別損失を計上し、純損益は二百八十九億円の赤字(前期は四千二百五十九億円の黒字)に転落した。赤字に陥るのは民営化後、初めて。一八年三月期は手数料ビジネスの強化などで四千億円の黒字への転換を見込んだ。

 日本郵政は傘下のゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融事業の業績が、日銀の大規模金融緩和による低金利の長期化の影響を受けて伸び悩んでいる。日本郵便も宅配便との厳しい競争が続く。収益力の強化が必要になっており、不動産大手の野村不動産ホールディングス(HD)の買収を検討している。

 十五日に記者会見をした長門正貢(まさつぐ)社長は野村不動産HDの買収について「お話をする内容はない」と直接の言及を避けながらも、「どんな案件であれ、企業の将来にとって必要ならば決断する」と述べた。

 オーストラリア物流子会社「トール・ホールディングス」の買収が赤字転落の原因になったため、さらなる大型買収の検討に懸念を示す声があるが、長門社長は「大きな損失を出した直後であっても関係はない」と述べた。

◆野村不動産の買収検討 一等地活用、収益の柱に

 海外の企業買収で巨額の損失を出したばかりの日本郵政が、収益力強化のために野村不動産ホールディングス(HD)の買収を検討しています。巨額の費用が必要になるだけでなく、畑違いと言える会社の買収を進めようとするのはなぜでしょうか。 (渥美龍太)

 Q なぜ、郵便や銀行、保険の事業を行う日本郵政が不動産会社を買収しようとしているのですか。

 A 日本郵政は国営時代からの名残で、駅前の一等地などに二兆円を超える不動産を持っています。買収で不動産のプロのノウハウを活用して開発を進め、収益の柱にしたいのです。今は金融業がグループを支えていますが、超低金利が続く中では「ジリ貧」に陥るとの懸念がありますから。

 Q でも、大きな失敗をしたばかりですよね。

 A そうです。海外の物流企業を初めて買収し、いきなり四千億円超の損失を出しました。国内の郵便事業は苦戦が続いており、早く収益の柱をつくりたいと考えて焦った面があったようです。にもかかわらず再び大きなリスクをとって、買収に踏み込むことには懸念の声がたくさん出ています。不動産の案件ごとに提携で対応すればいい、との考え方もあります。

 Q 資金に不安はないのですか。

 A オーストラリアの物流会社を買ったときは、ゆうちょ銀行のお金を活用しました。東京国際大の田尻嗣夫名誉教授は「グループ全体でみれば、保有している株式の含み益などで今も巨額の資産がある」と説明しています。

 Q とはいっても、次から次へと大きな投資をして大丈夫なのでしょうか。ゆうちょ銀行にお金を預けている人たちは、不安だと思うのですが。

 A 確かに、経営判断は慎重になるべきですね。投資で成長を目指すのは大事ですが、全国の郵便局網を守るという公共的な役割を担っている会社なのですから。それに六月一日からは郵便料金を値上げします。利用者に負担を求めており、野放図な投資は許されません。

 それに日本郵政の株の約八割は依然として政府が持っており、順次売却して東日本大震災の復興の財源に充てていく計画です。経営の失敗で株価が上がらなければ、復興にも影響するのです。

 

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