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【経済】

改正民法成立 「約款」契約扱い明記 「読んでない」通用せず

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 商品売買などの契約ルールを大幅に見直す改正民法が二十六日、成立した。ネット通販や賃貸マンションの敷金といった暮らしのさまざまな場面に影響する内容で、施行は約三年後になりそうだ。消費者と企業側とのトラブルを防ぐ効果も期待される。

 ▽言い訳

 「取引の安定につながる」。通販サイト「ヤフー!ショッピング」を運営するヤフー(東京)は成立を歓迎する。「現状は法律上のルールがなく、お客さまとの間で約款が契約内容なのかどうかを巡って争いになることがある」(担当者)からだ。

 ネット通販だけでなく、電気・ガスの供給や生命保険など企業が不特定多数の人を対象に示す定型の取引条件(約款)は、契約事務を効率化するために欠かせない仕組み。だが、現行民法に規定がないため消費者が読まないまま「同意」し、後でトラブルになることも多い。訴訟に発展するケースもあり、ヤフーは「紛争を減らすためにも法改正の意義は大きい」としている。

 改正案は約款が「契約内容」であることを示し、消費者が合意すれば内容を理解していなくても契約が成立すると明記。「読んでいない」「理解できなかった」との言い訳は通じなくなる。逆に「商品が壊れていても交換しない」など、消費者側に一方的な不利益を強いる契約条項は無効になる。

 ▽理不尽

 交通事故の保険金などの計算に使われる「法定利率」は現行の5%から3%に引き下げられる。保険金は「事故がなければ生涯で得られたと考えられる収入」を基準に算出されるが、まとめて受け取った賠償金を運用したと仮定して利息分が差し引かれる。利率が下がると差引額が少なくなり、受け取る金額は多くなる仕組みだ。

 一九九五年に十七歳だった長女を交通事故で失った「北海道交通事故被害者の会」代表の前田敏章さん(67)は「5%という数字は(低金利が長期化している)市中金利の実態に合っておらず、理不尽だった。法改正で当たり前の状態に少し近づいた」と話す。

 損害保険ジャパン日本興亜(東京)の担当者は「お客さま向けのパンフレットやシステムの改定が必要で、周知徹底のコストも増えるだろう」とみる。支払う保険金が増額すれば保険料の値上げにつながるとの指摘もあるが「どのくらい影響があるのか現時点で把握できない。今後の判断になる」と説明する。

 ▽明文化

 賃貸住宅を退去する際、クロスの張り替えや備品の補修などで高額な料金を請求され、トラブルになるケースは珍しくない。二〇一六年度に国民生活センターに寄せられた部屋の原状回復や敷金に関する相談は約一万三千件。改正案では、通常の使用による経年劣化の回復費用は借り主が負担しなくていいと記載した。

 判例として定着しているルールだが、NPO法人「日本住宅性能検査協会」(東京)の大谷昭二理事長は「明文化されることで貸主が曖昧な説明をすることは許されなくなり、トラブルの防止になる」と話した。

 

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