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【経済】

液晶パネル大手JDI 「国策会社」限界を露呈

記者会見するジャパンディスプレイの東入来信博会長=9日午後、東京都港区で

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 日立製作所、東芝、ソニーの事業を統合した中小型液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)は九日、経営再建策を発表した。グループ従業員の三割弱に当たる三千七百人超の人員削減や能美工場(石川県能美市)の生産停止が柱だ。財務立て直しの資金を得るため、来年春をめどに外部企業と資本提携する。政府主導で二〇一二年四月に発足した「国策会社」だが、経営の限界が露呈した。

 昨年十一月に公表した人員適正化の計画が達成されず、市況の悪化もあり経営難が続いていた。今回のリストラ関連費用として千七百億円程度の特別損失を計上する。一八年三月期の連結純損益予想は開示していないが、四年連続の赤字が確実となった。

 東入来信博(ひがしいりきのぶひろ)会長は東京都内で記者会見し「負のスパイラルからの脱却を図る」と強調した。自身と有賀修二社長の報酬を今月から一八年三月まで20%減額して経営責任を明確化する。資本提携先に関しては「特に制約があるとは考えていない」と述べた。財務アドバイザーなどを通じて台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業や中国のパネルメーカー天馬微電子に打診している。

 今後は次世代パネルの有機ELに力を入れる。採算悪化は、スマートフォン向け液晶パネルの競争が激化し、有機ELの開発が遅れたことが大きい。このため海外の工場は統廃合する。中国やフィリピンが対象とみられる。能美工場は一七年十二月に生産を停止。石川工場(石川県川北町)にある有機ELの試作ラインは廃止し、機能を茂原工場(千葉県茂原市)に一本化する。能美工場の従業員は近隣に配置転換する。

 人員削減は海外が約三千五百人。国内は五十歳以上を対象に二百四十人の希望退職者を募る。一連のリストラで年間五百億円程度の固定費削減効果を見込んでいる。

 JDIが九日発表した一七年四〜六月期の連結純損益は三百十四億円の赤字だった。みずほ銀行など主力三行は資金繰りを支えるため千七十億円の融資枠を設定した。JDIの筆頭株主で政府系ファンドの産業革新機構が返済を保証する。

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◆判断にスピード感ない

<早稲田大大学院の長内厚教授(経営学)の話> JDIが大幅な合理化策を打ち出したのは、経営の方向性が描けず、思い切った開発や投資ができなかったということだろう。背景にあるのは(国が主導し電機大手各社の事業統合で誕生した)「日の丸連合」という体制そのものだ。目まぐるしく市場動向が変わる中で、経営に口出しする者が複数いる状況ではスピード感のある判断ができず、命取りになる可能性がある。韓国のサムスン電子や台湾の鴻海精密工業といった成長企業が、トップダウンで経営を進めるのとは対照的だ。次世代パネルと言われる有機ELに安易に飛びつくのも賛成しかねる。それよりも大量生産ができる得意分野に注力し、生き残りを図るべきだ。

 

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