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【経済】

短観 景況感10年ぶり高水準 経営者「先が読めない」

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 日銀が二日発表した九月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の景気実感が前回の六月調査から五ポイント改善のプラス二二となり四・四半期連続で改善した。十年ぶりの高い水準に達する一方、先行きには慎重な見方。経営者の将来への不安は賃上げの停滞につながっており、「アベノミクス」の四年九カ月でも経済の好循環は実現しなかった。衆院選では根強い不安を取り除く根本的な議論が求められる。 (渥美龍太)

 「昔と比べ繁忙期が短い」。プラスチック部品切削加工の伸光製作所(東京都品川区)の角田正典社長(57)は実感を漏らした。今年春から、スマートフォン関連などの仕事が増えて忙しい。だが先行きは楽観できないという。「利益が出れば従業員に賞与は出せるが、先が読めない。基本給を上げるのは相当難しい」

 短観の景気実感は「業況判断指数(DI)」と呼ばれる値で表し、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を差し引く。大企業製造業は前回から五ポイント改善のプラス二二、中小企業製造業も三ポイント改善のプラス一〇となったが先行きでは大企業製造業が三ポイント悪化、中小でも二ポイントの悪化だった。

 アベノミクスは二〇一二年末から、円安が輸出企業を潤したが、経営者は賃上げに消極的で、消費の拡大につながってこなかった。今、景気の拡大が戦後二番目の長さといわれても、社会保険料の負担が重くなり続ける庶民の実感は薄い。

 衆院選でまだ各党の経済政策が出そろってはいない。しかし、消費税の増税分を教育無償化に使ったり増税自体を凍結したりと、「ばらまきの宣伝合戦が始まりつつある」(国内シンクタンク)状況だ。経営者にとって北朝鮮情勢や深刻な人手不足など、心配な要素が増えているのに、建設的な議論がなされるか心もとない。

 明治安田生命保険の小玉祐一氏は「景気は好調だが明らかに外需主導で、経営者はこれから日本が成長していく姿を描けていない」と慎重な姿勢の背景を解説する。衆院選に向けては「今や景気対策は必要なく、成長戦略を正面から議論すべきだ」と提言している。

 

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