東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 10月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

コバルト、子どもが採掘 コンゴ劣悪環境 リチウムイオン電池で需要増 

コバルト鉱石を選別するコンゴ(旧ザイール)の子どもたち=アムネスティ・インターナショナル日本提供

写真

 世界的に電気自動車(EV)やスマートフォンの普及が進む中、バッテリー用リチウムイオン電池の材料となる鉱物「コバルト」の需要が高まっている。だが、世界最大の産地であるアフリカ中部のコンゴ(旧ザイール)では、劣悪な環境で子どもも採掘に動員されている。人権団体は同国や関係企業に、住民の生活を改善するよう訴えている。 (妹尾聡太)

 「鉱物を売ることは貧しい村の生命線。大人たちは『わが子が病気になっても治療できない。コバルトを買ってくれることが重要だ』と訴えていた」。二〇一五年に現地調査したNPO法人アジア太平洋資料センター(東京)の田中滋さんが言う。

 世界のコバルトの約半分(年間六万六千トン)が産出されるコンゴ。国連児童基金(ユニセフ)や非政府組織(NGO)のアムネスティ・インターナショナルによると、企業の大規模な採掘のほか、無認可の手掘りや鉱石の収集運搬に十数万人が従事している。うち約四万人は十八歳未満の子どもと推測される。現場は安全設備が乏しく、粉じんによる肺疾患や落盤事故なども報告されている。

 田中さんは「コバルトは貧村の現金収入になるため、かつては家業の農業と同じような感覚で子どもが採掘を手伝っていた。しかし、この二十年間ほどでリチウムイオン電池の需要が急増すると、採掘は産業化し、子どもは労働力の一部として動員されるようになった」とみている。

 NGOや欧米メディアは近年、無認可採掘のコバルトが安く買いたたかれ、世界中のスマホや車などに使われていると指摘。これを受けて米アップルや韓国サムスン電子、日本の電機メーカーは一六年以降、供給網の把握に努めている。アムネスティによると、コンゴ政府も今年八月、二五年までに子どもの手掘り採掘をなくす方針を示したという。

写真

 しかし、フランス、英国、中国などは将来、ガソリン車の販売を禁じてEVを拡大する方針。コバルト不要のリチウムイオン電池もあるが、コバルトの価格は需要の高まりを見越して過去一年間で二倍に高騰している。現金を求めて危険な採掘をすることは、簡単になくなりそうにない。

 日本の自動車各社は紛争の資金源となる鉱物の使用や子どもの労働の禁止を掲げており、トヨタ自動車は「懸念があれば使用回避に取り組む」(広報)と説明。アムネスティ日本の担当者は「問題のある部品を排除するだけでは住民が仕事を失ってしまう。安全対策や教育、医療を支援して生活を向上させることも企業の責任のあり方ではないか」と企業側の積極的な対応を求めている。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報



ピックアップ
Recommended by