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【経済】

神鋼アルミ、防衛産業にも データ改ざん 経産省が防止策指示

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 経済産業省は十日、性能データが改ざんされた神戸製鋼所のアルミ製品が防衛産業の関連製品にも使用されていたと明らかにした。神戸製鋼に対しては、事実関係の究明や再発防止策を講じるよう指示した。供給先約二百社のうち使用が確認された国内主要メーカーは自動車、鉄道、航空宇宙、防衛と幅広い分野に及ぶ。強度不足などが判明すれば各社の業績にも影響しかねない。神戸製鋼幹部は十日、工場長レベルが改ざんを黙認していたと明らかにした。

 防衛省の青柳肇報道官は十日の記者会見で、問題の製品が自衛隊の航空機や誘導兵器にも使われている可能性があるとした上で「メーカーから航空機の運用には影響がないと報告を受けている」と述べた。

 新たに防衛産業で判明したのは三菱重工業、川崎重工業、IHI、SUBARU(スバル)の四社。具体的な使用先の製品名は明らかにされていないが、航空関連が含まれている。各社が安全性に問題がないか検証している。原発での使用は確認されなかったという。

 経産省は九月二十八日に神戸製鋼から報告を受け、原因究明に加え、納入先と協力して車や新幹線など最終製品の安全性を確認するよう求めた。

 自動車各社は安全性に関わる重要部品に欠陥が見つかれば、リコール(無料の回収・修理)の可能性もある。国土交通省は自動車や航空機関連のメーカーに使用状況の確認を要請している。

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◆「ものづくり」揺らぐ信頼

 自動車、鉄道車両、航空機、ロケット…。神戸製鋼所が性能データを改ざんしたアルミと銅製品が、さまざまな分野で使用されていることが明らかになってきた。このところ日産自動車や東芝など日本を代表する製造業でも不正が相次いでおり、日本の「ものづくり」の信頼が揺らぐ事態となっている。 (木村留美)

 神戸製鋼がデータ改ざんした製品の出荷先は約二百社に及ぶ。現在、使用が判明しているのは三菱重工業が開発中のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)やトヨタ自動車のボンネット、新幹線の台車など乗り物が中心で、万が一の場合は乗客の安全にかかわる。

 他の企業でも安全を度外視した不正が起きている。記憶に新しいのは先月発覚した日産の新車の無資格検査だ。国内全ての完成車工場で正式に認定されていない「補助検査員」が安全性のチェックに加わっていたことが判明し、約百十六万台のリコール(無料の回収・修理)に追い込まれた。

 不正が企業のあり方に大きな影響を及ぼした例もある。東芝は二〇一五年以降、利益を水増しする不正会計が次々と発覚した。経営再建ができないうちに米原発子会社の巨額損失が明らかになり、現在は上場廃止の危機に陥っている。

 三菱自動車は一六年四月、燃費試験に使うデータを意図的に操作し、本来より燃費を5〜10%程度良くみせる不正行為があったことを発表。ユーザーへの補償負担などに耐えられず、日産の傘下に入った。

 こうした大企業で不正が相次いでいるのはなぜなのか。企業不祥事に詳しい関西大学名誉教授の森岡孝二氏(企業社会論)は「日本を含む先進国の製造業が、新興国の台頭で優位に立てなくなってきていることが背景にある」と分析。「厳しい競争にさらされる経営陣は現場に厳しいノルマを課す一方で、ベテラン技能者を外し非正規化するなどリストラを進めた。現場にしわ寄せがいくことで不祥事が起こりやすくなる」と指摘している。

 

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