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【経済】

税金を扱う感覚まひ 商工中金不正融資 危機「演出」組織ぐるみ

2度目の業務改善命令を受けた商工中金の記者会見で、頭を下げ謝罪する安達健祐社長(左から2人目)ら=25日午後、東京都中央区で

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 政府系金融機関の商工中金が、税金の補填(ほてん)を受ける形で長年不正な融資を続けていたことが明らかになった。組織ぐるみという悪質さに加えて、大きな問題は国の制度を利用して、必要のない企業にまで融資を行ってきた手口だ。経済危機への対応の名目で、制度を存続させてきた政府の責任も問われる。 (渥美龍太)

 「(不正の)組織的な隠蔽(いんぺい)を否定できない」。安達健祐社長は二十五日の記者会見で語った。第三者委員会から不正の原因を営業現場に課したノルマと指摘されたときには「現場の誤解だ」と反論していたが、今回は一転、「認識を変えた。職員には陳謝をしている」と過度なプレッシャーを認めた。

 不正は「危機対応融資」だけではなく、統計調査での調査票偽造などの業務まで広がったうえに、不正の調査をしている職員自身が不正に携わっていたというお粗末ぶりも明らかになった。会見で安達社長は「組織の信頼を揺るがす深刻な事態」と繰り返した。

 世耕弘成経済産業相は「解体的出直しが必要」と商工中金を厳しく批判したが、今回の不正には政府も責任がある。リーマン・ショックなど本物の危機が去っても税金を使った予算の確保を続け、「原材料高」「デフレ」などの危機を加えて融資制度を維持。現場の行員たちがノルマに追われる下地をつくったといえる。

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 政府は昨年夏にも世界経済が「リーマン・ショック並み」の危機に陥る可能性があるとして、景気が悪くないのに大きな経済対策を打った。「危機を利用した税金の無駄遣い」は商工中金だけではなく、政府全体の体質の問題でもある。

 法政大の真壁昭夫教授は商工中金の不祥事に「政府系の機関は組織が緩みやすい」と指摘したうえで政府の経済政策にも言及。「明らかに今は危機ではない。見た目の数字を良くするその場しのぎの政策が必要かどうかも考えていくべきだ」と話している。

<商工中金の不正融資問題> 商工中金は政府が多くの株式を持つ政府系と呼ばれる金融機関で、民間銀行などからお金を借りにくい中小企業を支えるのが役割。歴代トップは、所管する経済産業省からの天下りが多い。国の資金を得て天災や金融危機などの緊急時に低い金利で貸す「危機対応融資」が、2008年のリーマン・ショックを機に創設されると、取扱機関となった。不正が発覚したのは16年。本来は融資の対象にならない中小企業の財務資料を改ざんし、経営が悪化したように見せ掛けるなどして貸していた。

 

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