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【経済】

保育所整備 3000億円拠出 首相要請 経済界、受け入れ意向

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 安倍晋三首相は二十七日、「人づくり革命」の会合を開き、政策の柱を示した。財源確保に向けて、会合に出席した榊原定征経団連会長に対し、「三千億円の拠出をお願いしたい」と、経済界の負担を要請。幼児教育無償化や待機児童解消など、自民党が衆院選の公約に掲げた政策を年末までに具体化させる。

 政策の実行に必要となる二兆円のうち一・七兆円は、消費税を10%に引き上げた際の増収分を充てる。残りの〇・三兆円は、社会保険料のうち企業が支払う事業主拠出金を引き上げて確保する意向だ。企業の拠出分は、主に待機児童解消に向けた保育所の整備に充てる方針。榊原氏は報道陣に「事業主が納得できる形の拠出はあり得る」と述べた。

 高等教育無償化では、給付型奨学金と授業料減免を拡充する。奨学金は高校の成績にかかわらず支給し、大学の成績によって支給の継続を判断する仕組みを検討する。幼稚園と保育園の無償化は三〜五歳児の全世帯で実施し、ゼロ〜二歳児は所得の少ない世帯に限定する。

◆高所得者ほど恩恵大きく

 政府が二十七日に開いた「人づくり革命」の会合で、幼児教育の無償化について、所得制限を設けない「全面無償化」で実施する方向で一致した。現在の保育料は所得の多い世帯ほど高いため、無償化の恩恵は高所得世帯ほど大きくなる。さらに、全面無償化で保育園の入園希望者が増えれば、保育士不足など保育の質の低下につながる恐れもある。

 保育料は世帯の所得額に応じて、料金が変わる。例えば、国は年収八百万円の世帯で三歳児を認可保育所に通わせる場合、月の保育料の上限額を五万八千円に設定しているが、年収三百万円だと上限額は一万六千五百円に下がる。生活保護世帯や低所得世帯では、現在でもほぼ無償化の対象だ。

 このため、これから全面無償化になると払わなくて済む保育料は所得の高い世帯ほど大きい。ほかの習いごとにお金を回せるようになるので、「教育格差が広がる」という専門家の指摘もある。しかも、教育無償化の財源は、収入の少ない人ほど負担感が大きい消費税の増税(二〇一九年十月を予定)だ。

 保育の質の低下を懸念する声もある。保育問題に詳しい日本総研の池本美香氏は「ニュージーランドでは無償化によって、長時間保育の希望者が増え、保育士の待遇が悪化した」と説明。教育効果を高めるため、質をどう確保していくかという議論も必要だと指摘する。(桐山純平)

 

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