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【経済】

<ビットコインの世界> (3)投資家「荒れる相場に魅力」弁護士「自己責任のゲーム」

飲食店でビットコインの価格を確かめる伊東秋人さん(ネット上のニックネーム)=東京都新宿区で

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 「ビットコイン(BTC)下がっているよ」。今年夏に高速道路で車を運転中、後部座席の妻の声を聞いた投資家の伊東秋人さん(34)=ネット上で使うニックネーム=は、アクセルを踏む力を強めて最寄りのサービスエリアに急いだ。停車し、すぐさまスマホを操りBTCを現金に戻す。出発してからわずか一時間で約百万円のマイナスだった。

 「(株と違って)土日でも二十四時間取引できるから、気が抜けない」。移動や食事などの合間に、スマホでBTCの取引をしたり、相場をチェックしたりするのもいつものことだ。

 BTCは当初、株式投資の延長で試しに買ってみた程度だった。数カ月後の二〇一四年二月に当時の最大手取引所「マウントゴックス」が破綻し、投資した百万円が戻らなかった。

 その後、仮想通貨を勉強し直し「やはり将来性はある」と感じた。本格的に投資を再開したのが今年春のこと。八月初旬に三千万円ほどBTCを買った際は、九月中旬に現金に戻して一千万円以上の利益が出た。「相場は荒れるからこそ魅力がある」と笑った。

      ◇

 BTCは政府の規制強化といった固有の事情だけでなく、北朝鮮情勢の緊迫など、あらゆるきっかけで価格が大きく動く。乱高下は、利ざやを狙う投機家をさらに呼び込んできた。

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 今年初めは一BTC当たり十万円程度だった価格が、十月に六倍を超えるまで急上昇している。今、世界で最もBTCの取引が多いのが日本とされ、フィスコ仮想通貨取引所の田代昌之アナリストは「当分は乱高下が続く」と話す。

 投機が投機を呼ぶ状況に、金融界では懐疑的な見方も少なくない。九月、世界的な金融グループ、米JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者は「BTCは詐欺だ」と切り捨てた。

 日本では、ネット上の通貨特有の不正も目立ち始めている。警察庁によると、BTCなどの仮想通貨を取引するアカウントが乗っ取られ、勝手に送金される被害が今年一〜六月で二十三件確認された。被害額は六千万円近い。五月以降に急増しているという。

 規制も追いつかない。BTCと現金の交換を担う取引所の金融庁への登録は、九月末に始まったばかりだ。仮想通貨に詳しい三平聡史弁護士は警鐘を込めて言う。「利用者保護の仕組みもないままに、みんなが争って小さなコップの中でゲームを続けている。自己責任の世界だ」

 

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