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【経済】

米、貿易是正を要求 日本側、大統領言及で誤算

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 トランプ米大統領は六日、日米首脳会談後の共同記者会見で対日貿易赤字を問題視し、「慢性的な貿易不均衡を是正していかなければならない」と強硬な姿勢をはっきりと示した。日米自由貿易協定(FTA)について直接的な言及はなかったものの、経済関係の強化を打ち出したかった日本側のもくろみは崩れる形となった。 (矢野修平)

 安倍晋三首相との共同記者会見でトランプ氏は「日本に対する貿易赤字を減らさないといけない」と明言した。ただ、日本側が懸念していたFTAや貿易赤字削減の具体策には触れず、会談中も「やりとりはなかった」(政府関係者)という。

 日米FTAを巡っては、両国で思惑が対立している。トランプ氏は、国同士の力関係を反映させやすい二国間の交渉で自国に有利な取引に持ち込むのが基本路線。一方の日本は、環太平洋連携協定(TPP)を上回る譲歩を迫られる恐れのあるFTAの議論は回避したい意向だ。

 この日の会見で安倍氏は、貿易以外の経済協力なども協議する「日米経済対話」の意義を繰り返し説明し、「この枠組みで成果を出したい」と強調した。日米経済対話は、知日派であるペンス副大統領が米側の責任者となっており、トランプ氏の不規則発言を封じ込められるとの狙いがあるからだ。

 しかし、会談前の六日午前、日米財界人との会合でトランプ氏は「何百万台の日本車が米国で売られているのに、米国から日本へ輸出される車は事実上、一台もない」と述べ、日米間の自動車貿易の不均衡をやり玉に挙げて批判した。米国の対日貿易赤字は中国に次いで二番目に大きく、自動車関連はその八割を占める。今後の経済対話でも対立の火種となる可能性はある。

 日本が米国以外の参加国と大筋合意を目指しているTPPも、トランプ氏は「よい考え方ではない」と明確に否定。一方、安倍氏は共同記者会見で「二国間だけでなく、アジア太平洋地域における貿易、投資の高い基準づくりを主導したい」と述べ、TPPに盛り込んだルールを維持したい思いをにじませた。

 今回の首脳会談について、米国経済に詳しい大和総研シニアエコノミストの長内智氏は「日本はうまく問題を先送りした」と認めつつ、「懸念材料は残ったままだ」と指摘している。

◆首脳会談 文書表現に違い

 日米両政府は六日、首脳会談に関する文書をそれぞれ発表したが、形式をそろえず、表現に違いがあった。

 米軍普天間飛行場については、双方の文書とも名護市辺野古への移設を「唯一の解決策」であることを確認し、移設の遅れが「平和と安全に悪影響を及ぼす」とした。日本側の文書には、さらに安倍晋三首相が米軍による事件や事故に関する地元の懸念を伝えたとしているが、米側の文書にはそうした記述はなかった。

 貿易を巡っては、米側の文書には、トランプ大統領が対日貿易赤字の是正の重要性を強調したと記されている。日本側は「是正が実現することを確信している」とだけ触れた。

 二月の首脳会談では、共同声明の文書を発表したが、今回はなかった。その代わり、日米両政府がそれぞれ「合意した内容についてのペーパー」(日本政府高官)を出した。

 

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